同級生は「大学院卒のほうが生涯年収は高い」と言って進学しました。大卒と大学院卒では「生涯年収」はどれくらい違うのでしょうか?
配信日: 2025.04.29

本記事では、大卒と大学院卒の生涯年収の違いについて、統計データをもとに解説していきます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
大卒と大学院卒の初任給はどれくらい違う?
就職したばかりの時点で、学歴によって給料に差があるのか気になる方も多いはずです。ここでは、厚生労働省の最新データをもとに、大卒と大学院卒それぞれの初任給の違いを見ていきましょう。
厚生労働省の「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、大学卒の1ヶ月あたりの平均賃金は38万5800円、大学院卒は49万7000円です。月収ベースで11万円、年収では132万円もの差となります。
この差は月額で11万円、年収に換算すると132万円の差になります。初任給の時点でも、大学院卒のほうが高い給与を得ていることが明確です。業種や職種によって差はありますが、統計的には大学院卒がスタート時点から収入面でやや優位にあるといえるでしょう。
年齢とともに広がる年収格差
同じ調査では、年齢ごとの賃金も明らかになっています。
年齢別の1ヶ月あたりの平均賃金は、大学卒で20~24歳が25万800円、30~34歳が32万5200円、40~44歳が40万6200円で、54~59歳の52万7200円がピークとなります。大学院卒では、20~24歳が28万6200円、30~34歳が38万8000円、40~44歳が52万5500円で、こちらも54~59歳がピークで67万8200円です。
この結果から、大学卒と大学院生の給料は大きく違うことが分かり、新卒にあたる20~24歳時では月3万5400円の差ですが、年齢を重ねるごとにこの差は一層拡大していき、ピークである54~59歳時では15万1000円もの差となります。
このように、学歴による年収差は、キャリアが進むにつれて顕著になっていきます。役職への昇進や専門職としての採用など、大学院卒が有利とされる場面も少なくありません。
大学院進学にかかる費用と回収可能性
「大学院に進むと収入が上がるのは分かったけど、お金もかかるんじゃないの?」という声もあるでしょう。
たしかに、大学院に進むにはコストがかかります。
文部科学省の「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査」によると、私立大学では1年目にかかる学費の平均は135万7080円(入学料24万5951円込み)ですが、大学院となると博士前期課程が105万4844円(同20万2598円込み)、後期課程が87万194円(同18万9623円込み)、専門職学位課程が134万4817円(同19万8190円込み)となっています。
一人暮らしをしている場合はこれに生活費もかかり、東京など大都市圏の場合は月10~15万円ほど必要となります。
ただし、生涯で数千万円単位の年収差であることを考えると、大学院への進学は将来へのよい投資といえるかもしれません。
学歴による就職先やキャリアパスの違い
年収の差も気になりますが、「どんな仕事に就けるか」も大きなポイントです。ここでは、学歴によって広がる就職先やキャリアの違いについて見てみましょう。
大学院を卒業した人は、大学卒に比べて専門的な知識があり、研究職や技術職、大企業の開発部門など、より高度な知識が求められる仕事に就くケースが多く見られます。
特に理工系の分野では、大学院卒が前提とされる企業も多くあります。文系でも、公務員や専門職、教育・研究分野などでは、大学院の学びが強みになることがあります。
一方で、大学卒でも早く社会に出て実務経験を積めるメリットがあり、キャリアの築き方は人それぞれです。
大学院への進学は収入だけでなく、将来の働き方や職業選択にも影響します。進学するか就職するかは、希望する職種や将来のビジョンを考えたうえで決めることが重要です。
大学院進学は“将来への投資”だが、慎重な判断を
大学院を卒業した人は生涯年収が高いというのは、統計上ある程度正しいといえます。実際に、数千万円の差が生じることもあり、大学院への進学は長期的に見た自己投資としてよい選択といえるでしょう。
しかし、年収だけを理由に進学を決めるのは早計です。自分に合った仕事や学びたいこと、将来どんな人生を歩みたいかを考えてこそ、納得のいく選択ができるはずです。
大学院進学はゴールではなく、新しいスタートです。よく考えて、自分にとってベストなよい道を選びましょう。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー