“完全歩合制”で「タクシー運転手」をしている友人。売り上げがゼロの場合は、「無収入」になってしまうのでしょうか?

配信日: 2025.04.29

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“完全歩合制”で「タクシー運転手」をしている友人。売り上げがゼロの場合は、「無収入」になってしまうのでしょうか?
タクシー運転手の給与体系は特殊で「歩合給制」が採用されているケースが多くなっているようです。「歩合給」と聞くと「売り上げがゼロだった場合は無収入になるのか?」と思う人もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。
 
そこで本記事では、歩合給制についてご紹介するとともに、給料の計算方法についても詳しくまとめています。
FINANCIAL FIELD編集部

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歩合給制とは?

「歩合給制」とは、労働者の売り上げや成果に応じて給料が支払われる仕組みのことをいうとされています。決まった時間働くことで一定の給料が支払われる仕組みが「固定給制」ですが、歩合給制にはこの固定給を組み合わせたものと、固定給はなく歩合給のみが支払われる「完全歩合制」があるようです。
 
完全歩合制の場合は、成果が給料に反映されるため、やりがいを感じやすい可能性があるため、その点はメリットとなることもあるでしょう。
 
ただし、安定した収入を得るのは難しい場合があるというデメリットもあります。売り上げが悪かった月は収入が減ってしまうため、そのような月があっても生活に支障が出ないよう、普段からしっかりとお金の管理をしておいた方がよいでしょう。
 

完全歩合制だと売り上げがゼロの場合どうなる?

今回の事例では「友人が完全歩合制でタクシー運転手をしている」ということですが、完全歩合制だと売り上げがゼロの場合、無収入になるのか疑問に思う人もいるでしょう。
 
実際には、完全歩合制の場合であっても「最低賃金制度」により、一定の条件下では最低限の賃金が保障されている仕組みといえるでしょう。最低賃金制度とは「使用者は労働者に対して国が定めた最低限の賃金以上の賃金を支払わなければならない」とするものです。
 
厚生労働省によると、タクシー運転手には都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」が適用されるとしています。もし、使用者が労働者に対して地域別最低賃金より低い金額の賃金を支払った場合は、最低賃金法第四十条により、50万円以下の罰金が科せられます。
 
また、歩合制度が採用されている場合は、保障給を定めなければならないようです。これは、労働時間に応じて一定の賃金が得られるようにするためのもので、通常の賃金の6割以上であり、かつ最低賃金を上回っている必要があるとされています。
 
つまり、完全歩合制でタクシー運転手をしていて売り上げがゼロであっても、一定の収入が得られる可能性はあると考えてよいでしょう。
 

完全歩合制における給料の計算方法

完全歩合制においては、歩合給を月間総労働時間で割って1時間あたりの賃金額を計算するようです。例えば、歩合給が14万4000円で月間総労働時間が200時間の場合、「14万4000円÷200時間=720円」となります。
 
もし、このタクシー事業所が地域別最低賃金を下回っている場合は、その差額が支払われなければならないと考えられます。
 

完全歩合制でも最低賃金制度や保障給のおかげで無収入になる可能性は低い

タクシー運転手の給与体系には、歩合給制が採用されていることが多いようです。
 
「完全歩合制だと売り上げがゼロの場合、無収入になるのか?」と思われることもあるかもしれませんが、最低賃金制度により最低限の給与が保障されているほか、通常の賃金の6割以上の保障給も定められているため、無収入になる可能性は低いと考えられます。
 

出典

厚生労働省 タクシー運転者の最低賃金について
デジタル庁 e-Gov法令検索 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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