50代の父は「私が30代のころは給料が安かったから今の世代は恵まれている」と言っていました。物価も上昇しているので差はあまりないと思うのですが…
また、物価の上昇も考慮して、老後の資金が問題ないかもともに考えておくことが大切です。今回は、約20年前と今の平均給与や物価指数の差、老後の資金形成などについてご紹介します。
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目次
約20年前と今で平均年収はどれくらい違う?
まずは、令和5年と平成16年の平均年収を比較しましょう。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、令和5年の平均給与は460万円、男性のみだと569万円、女性のみだと316万円です。一方、「平成16年分 民間給与実態統計調査」によると、平成16年の平均給与は439万円、男性のみだと541万円、女性のみで274万円でした。
平均給与のみで比較すると、平成16年よりも令和5年の方が全体で21万円、男性のみで28万円、女性のみで42万円多くなります。そのため、父親が平均給与のみで昔と今を比較していれば、今の方がよいと感じる可能性があるでしょう。
約20年前と今で物価はどれくらい違う?
次に、令和5年と同基準の最も古いデータが平成16年のため、ここでは令和5年と平成16年の物価を比較します。
総務省統計局の「2020年基準消費者物価指数 年報」によると、令和5年(2023年)時点と平成16年(2004年)時点の物価指数の、項目別数値は表1の通りです。
表1
| 令和5年 | 平成16年 | |
|---|---|---|
| 総合 | 105.6 | 95.5 |
| 食料 | 112.9 | 86.7 |
| 住居 | 102.4 | 101.2 |
| 光熱・水道 | 108.5 | 81.6 |
| 家具・家事用品 | 113.8 | 117.9 |
| 被服及び履物 | 105.7 | 91.8 |
| 保健医療 | 101.2 | 97.5 |
| 交通・通信 | 95.8 | 99.0 |
| 教育 | 102.1 | 111.9 |
| 教養娯楽 | 107.1 | 106.7 |
| 諸雑費 | 103.7 | 88.9 |
出典:総務省統計局「消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 年報 年次 2023年 統計表」を基に筆者作成
物価指数全体は、19年間で10.1上昇しています。さらに項目別では、10項目のうち7項目は平成16年よりも令和5年の方が高い結果です。特に、食料の物価指数は19年間で86.7から26.2上昇した112.9となっています。
上記より、平均年収は上がっているものの物価も上昇しているため、収入に対する出費の割合は減っていないといえるでしょう。人によっては、むしろ出費の割合が高くなっている可能性もあります。
父親が昔の給与の方が低かったというときは、こうした物価の違いも比較してみると収入対出費の負担割合に差があるのか判断しやすくなるでしょう。
老後の出費が不安なときの対策
およそ20年で物価の多くが上昇していることから、自身が高齢者になったときに費用を工面できるのか不安に思う方もいるでしょう。
老後に向けた対策としては、まず老後のライフプランを考えることが大切です。受け取れるであろう年金額やほかの収入、また毎月いくらくらいの出費になるかを考えると、老後に向けた資産形成の目標を立てやすくなります。物価上昇を考慮するなら、試算した金額よりも少し多めの老後資金を用意しておくとよいでしょう。
目標金額を決めたあとは、iDeCo(個人型確定拠出年金)や積立預金などを活用して、効率よく貯金していきます。自分で貯金できるか不安なときは、口座から自動で積み立ててもらえる自動積立定期預金も活用するとよいでしょう。
平均給与とともに物価も上昇しているため実質的な差はあまりない可能性がある
約20年前と現在とを比較すると、平均給与とともに物価も上昇しています。特に、物価は全体で10.1、食料だけだと26.2も上昇しているため、給与と出費を比較したときの負担の差は大きくないといえるでしょう。
もし今後の物価上昇も考慮したときに老後の資金源が不安な場合は、老後のライフプランを考えてから貯めておきたい老後資金の目標を決めることがポイントです。iDeCoや積立定期預金など、自分が扱いやすい資産形成の方法を活用するとよいでしょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
国税庁 平成16年分 民間給与実態統計調査
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 年報 年次 2023年 統計表 1-1 中分類指数(全国)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
