医師の年収は高いと聞きますが、最も年収が高いのは「何科」の医師ですか?
本記事では、診療科による年収の違いや医師の年収が高い理由などについて解説します。
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目次
医師の平均年収
厚生労働省公表の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は約1440万円でした。国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本人の平均年収は460万円なので、医師の年収は平均よりも約980万円高く、かなりの高収入であることが分かります。
医師の年収が高い理由
医師の年収は日本人の平均年収よりも高い傾向にありますが、年収の高さにはさまざまな理由があるのです。本項目では医師の年収が高い理由を解説します。
責任が重い
医師の年収が高い理由として、非常に重い責任を伴う仕事であることが挙げられます。患者の命を預かる医師は、自分のちょっとしたミスでも患者の命を危険にさらす可能性があるのです。そのため、責任の重さに見合った対価として、高い年収が支払われているといえるでしょう。
勤務時間が長い
厚生労働省の資料によると、病院常勤勤務医の約4割が年間960時間以上、約1割が年間1860時間以上の時間外・休日労働をしていることが分かっており、残業時間の長さが高い年収につながっている可能性があります。
一般財団法人労務行政研究所の「2024年度労働時間総合調査」によると、2023年度の一般的な会社員の平均残業時間は1人1ヶ月あたりで17時間、年間に換算すると204時間であり、医師の残業時間が平均よりも大幅に長いことが分かります。
需要が高い
医師の需要が高いことも年収が高い理由のひとつです。特に、医師が不足している過疎地域や高齢者の割合が多い地域では多くの医師を求めています。そのため、需要の高さが年収の高さにも影響しているといえるでしょう。
高年収の診療科3選
ここでは、病院に勤務している医師の中で年収の高い診療科上位3科について紹介します。独立行政法人労働政策研究・研修機構が調査した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を基に解説しています。
脳神経外科
病院勤務医の中で最も高年収である診療科は、脳神経外科です。調査時点での平均年収は約1480万円で、医師全体の平均年収約1440万円より約40万円高いことが分かります。
脳神経外科医の1週間あたりの平均労働時間は53.3時間、緊急時の対応に備えて待機するオンコールの回数がほかの診療科よりも多い傾向にあり、多忙な働き方が高年収につながっているといえます。
産科・婦人科
病院に勤務する産科・婦人科医の年収は約1470万円です。産科・婦人科医の年収が高い理由には、妊婦さんの状態の急変や分娩に対応するためのオンコールが多いことや、医師が不足気味であることなどが挙げられます。
外科
病院に勤務する外科医の年収は約1370万円です。外科医の年収が高い理由には、勤務時間の長さが挙げられます。外科医の1週間の平均労働時間は52.5時間なので、ほかの診療科と比べても長時間であるといえます。また、外科医はリスクの高い手術を行うケースがあることも、年収の高さにつながっているといえるでしょう。
経営形態では「医療法人」の年収が最も高い
独立行政法人労働政策研究・研修機構の同調査によると、病院の経営形態別に見た年収では、「医療法人」に所属している医師の年収が約1440万円で最も高いことが分かりました。次いで個人経営が約1410万円です。
その反面、経営形態の中で最も年収が低いのは学校法人の約740万円、次いで国立の約880万円でした。経営形態が違うと年収に約700万円の差が出る場合もあるため、医師として稼ぐためには経営形態の選択も重要な項目であるといえるでしょう。
最も年収が高いのは「脳神経外科」の医師だが、勤務する病院の経営形態などで変わる可能性がある
医師は選択した診療科や勤務先の経営形態などによって年収が変わるといえます。また、医師の年収はほかの職業に比べ高いことが伺えます。
しかし、高年収である医師は年収の高さ以上に重い責任やハードワークを課せられているため、決して楽な仕事ではありません。医師を目指している場合は、このような現状も踏まえ自分に合った診療科や勤務先を探してみてください。
出典
政府統計の総合窓口(e-Stat) 厚生労働省 賃金構造基本統計調査/令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省 医師の働き方改革
一般財団法人労務行政研究所 2024年度労働時間総合調査 4 時間外労働の実態(29ページ)
独立行政法人労働政策研究・研修機構
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
