社会人2年目で「基本給20万円」の自分より、今年の新入社員のほうが“手取り”は多い説!?「初任給アップ×税金」のリアルとは
本記事では、大手企業の初任給アップの動向や、新卒1年目と2年目の手取り額の違いについて解説し、2年目の会社員が取るべき対策についても考えていきます。
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初任給アップの流れとは?
近年、初任給アップのニュースが世間をにぎわせていますが、実際に初任給はどれくらい上がっているのでしょうか?
帝国データバンクの「初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)」によると、2025年度の新卒採用において、約7割の企業が初任給を前年度より引き上げると回答しており、平均引き上げ額は9114円です。
この金額はあくまでも平均ですので、この金額よりも多い場合もあるでしょう。例えば、これまで基本給が20万円だった企業が、新卒採用の競争力を高めるために22万円へ引き上げたとします。一方、2年目の自分の昇給が1万円だったとすると、今年の新入社員のほうが自分よりも基本給が高くなってしまいます。
もちろんこれは一例でしかなく、このようなアンバランスが起こらないよう、新卒の基本給を上げた分、新卒2年目の給料を上げるなどしている企業は多いでしょう。
しかし、仮に基本給が新卒よりも新卒2年目のほうが若干高いとしても、手取りについては「住民税」の要素を考慮する必要があります。
住民税がかからない新卒1年目
会社員の手取り額を左右する大きな要因の1つが、「住民税」です。住民税は前年の所得に対して10%が課税されますが、新卒1年目の社員の多くは、前年の所得がゼロ、もしくはアルバイトなどで多少稼いでいる程度のため住民税がかかりません。
つまり、新卒1年目は多くの場合、基本給から所得税や社会保険料などが引かれた金額が手取りとして受け取れます。
しかし、新卒2年目になると、所得税や社会保険料にプラスして、前年の所得に応じて住民税が課税されます。そのため、2年目の昇給額によっては、1年目よりも手取りが減ることも十分考えられるのです。
新卒2年目としてどうすればいい?
新卒の初任給アップと住民税の仕組み上、新卒2年目よりも今年の新入社員のほうが、手取りが多い可能性は決して低くありません。新卒2年目として、少しでも負担を軽くしたり、納得感を上げたりするにはどうすれば良いのでしょうか?
昇給制度を確認する
まずは、自分の会社の昇給制度をしっかり確認しましょう。企業によっては、入社2年目以降に基本給が自動的に上がる仕組みを採用しているところもあります。
また、短期間での昇給が見込めない場合は、社内でキャリアアップを目指す方法を検討しましょう。例えば、資格取得やスキルアップをして昇給のチャンスを増やすのも1つの手です。
ふるさと納税を活用する
お得な制度として「ふるさと納税」があります。
ふるさと納税を利用すると、原則として寄附金のうち2000円の自己負担額を除いた分が住民税の控除対象になります。さらに、寄附した自治体から返礼品がもらえるため、お得といえるでしょう。
副業を始める
手取り額が減るなら、副業で収入を増やすのも1つの選択肢です。最近では、クラウドソーシングサービスなどを活用しながら、隙間時間で稼ぐことも可能になっています。
ただし、副業が会社の規則で禁止されていないかを事前に確認しておきましょう。
場合によっては転職を視野に
「昇給が見込めない」「今の収入に限界を感じる」という場合、転職を視野に入れるのも1つの手段です。特に、最近は人手不足などの影響もあり転職市場は活況を迎えており、より良い条件で働ける環境を探すチャンスでもあります。
転職を考える際には、社内でのキャリアアップの可能性と比較しながら、転職エージェントに相談するなどして、自分に合った転職先を探しましょう。
まとめ
近年の初任給アップの流れと住民税の仕組みが相まって、「新卒1年目のほうが手取りは多い」という逆転現象が起こることは十分あり得ます。しかし、昇給制度の確認やふるさと納税の活用、副業や転職などの対策を講じることで、入社2年目でも手取りを増やすことは可能です。
「なんだか損した気分」と落ち込むのではなく、しっかりと情報を集めて、対策を講じていきましょう。
出典
株式会社帝国データバンク 初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
