友人の息子さんが「弁護士」を目指すそうです。「弁護士の国家試験」は難しいイメージですが、その分年収も高いのでしょうか?
本記事では、司法試験の合格率や法務従事者の企業規模別の平均年収に加え、独立開業した場合年収がどれくらいになるのかについても紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
「司法試験」の合格率は「42.1%」で国家試験の中でも最難関といわれている
日本弁護士連合会「弁護士白書2024年版」によれば、2024年の司法試験の合格率は表1の通りです。
表1
| 2024年 | |||
|---|---|---|---|
| 総数 | 男性 | 女性 | |
| 出願者 | 4028人 | 2702人 | 1326人 |
| 受験者 | 3779人 | 2532人 | 1247人 |
| 合格者 | 1592人 | 1111人 | 481人 |
| 合格率 | 42.1% | 43.9% | 38.6% |
出典:日本弁護士連合会「弁護士白書2024年版」を基に筆者作成
合格率は42.1%と、最難関試験としては、合格率が高いと感じる人もいるでしょう。しかし、実際は法科大学院修了者と同等の受験資格を得るための「司法試験予備試験」のほうがより厳しく、この時点で多くの受験希望者が振り落とされているのです。
司法試験予備試験は、「短答式試験」「論文式試験」「口述試験」の3段階で実施され、最終合格率は例年3~4%前後で推移しています。
また、司法試験予備試験の難易度が高いだけでなく、弁護士人口増員のペースが急激であることなどを要因として進められた司法試験合格者数の減員も、司法試験を狭き門としているのです。
「法務従事者」の平均年収は「700万円~1250万円程度」
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模別の弁護士を含む「法務従事者」の推定平均年収は以下の通りとなります。
・企業規模(10人以上):765万2700円
・企業規模(10~99人以上):724万3300円
・企業規模(100~999人以上):1254万8000円
・企業規模(1000人以上):706万9400円
平均年収は、およそ「700万円~1250万円」と推測されます。国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」で公表されている日本人の平均年収が460万円であることから、弁護士を含む法務従事者の平均年収は、高めといってよいでしょう。
独立開業すると「年収2000万円」に手が届くケースも
日本弁護士連合会「弁護士白書2023年版」を基に独立開業した場合の年収について解説します。経験年数10年以上15年未満(司法修習期61-65期)の収入は、平均値が1975万円で中央値が1800万円です。さらに、15年以上20年未満(司法修習期56-60期)の収入の平均値は2554万円で中央値が2100万円となります。
そして、同資料によれば、司法修習期61-65期の73.8%、56-60期の87.3%が経営者弁護士です。このことから、独立開業した弁護士の年収は2000万円に手が届くケースもあることが分かります。
まとめ
司法試験の合格率が2024年時点で42.1%と、難関試験といわれる割には高いと感じる人も多いかもしれません。しかし、法科大学院修了者と同等の受験資格を得るために実施される「司法試験予備試験」の合格率は例年3~4%前後で推移しており、狭き門といえるのです。
弁護士を含む法務従事者の推定平均年収は、「700万円~1250万円」程度と日本人の平均年収と比較しても高めといえます。さらに、独立開業して経験を積めば、年収2000万円超も夢ではないかもしれません。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
日本弁護士連合会 弁護士白書2024年版 基礎的な統計情報(2024年) I 弁護士等の実勢 3.法曹等に関する人口 2 司法試験合格者の状況(39ページ、41ページ)
日本弁護士連合会 弁護士白書2023年版 基礎的な統計情報(2023年) 第2編 弁護士の活動状況 2-4弁護士実勢調査に基づく近年の弁護士の実情 (1)弁護士の就業形態(142ページ)、(6)経年変化比較(147ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
