ネット利用率は「高所得層」ほど高い!? 年収200万円未満は「62.5%」だけど、年収1000万円以上ではどのくらい? 所得による“デジタル格差”とは
本記事では、世帯年収ごとのネットの利用状況と、安全にネット利用するためのポイントを紹介します。
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世帯年収ごとのネット利用率
総務省が実施した令和5年の「通信利用動向調査」によると、世帯年収1000万円以上の層ではネット利用率が94.4%と非常に高い水準に達しています。年収ごとのネット利用率は次のとおりです。
・1000万円以上:94.4%
・800万円~1000万円未満:93.6%
・600万円~800万円未満:93.3%
・400万円~600万円未満:89.6%
・200万円~400万円未満:77.5%
・200万円未満:62.5%
このデータから、年収が低くなるほどネット利用率が下がる傾向が見られます。スマートフォン、タブレット、パソコン、ネット対応テレビなどの機器購入費用や、通信費などの継続的な支出が、低所得世帯には大きな負担になっていると考えられます。
収入が少ない家庭ほど、ネット環境への投資を控えざるを得ない状況にあるようです。
日本の年収分布から見るネット利用者数
国税庁が実施した「令和5年分民間給与実態統計調査」を基に、年収層別のネット利用者数を計算します。
高所得層のネット利用者数
年収1000万円超の層は全体の5.5%で、約279万人となります。そのうちの94.4%がネットを利用しているため、実際のネット利用者数は約263万人と推計されます。
低所得層のネット利用者数
年収200万円未満の層は全体の20.4%を占めており、約1036万人です。この層の62.5%がネットを利用していることから、実際のネット利用者数は約647万人となります。
世帯年収ごとのネット利用率は高所得のほうが高いものの、実際の利用者数としては年収200万円未満のほうが多いということになります。一方、年収200万円未満の層の37.5%、つまり約388万人がネットを利用できていません。
所得によってデジタル格差が生まれており、ネットを利用できない人が相当数存在するのも現状です。
その他の所得層のネット利用者数
ほかの所得層におけるネット利用者数は以下の通りです。
・800万円~1000万円未満:約265万人
・600万円~800万円未満:約570万人
・400万円~600万円未満:約1194万人
・200万円~400万円未満:約1189万人
所得によるネットの利用格差は見られるものの、全体として見ればネットは非常に多くの人に利用されていることが分かります。
ネット利用の注意点
インターネットは、情報収集や買い物、SNSや動画視聴など、私たちの生活に欠かせない便利なツールですが、同時にさまざまなトラブルも発生しています。
ネットを利用する上で、トラブルに遭わないための注意点も押さえておきましょう。国民生活センターに寄せられた相談事例を基に、特に注意すべき点を紹介します。
フィッシング詐欺
「あなたのアカウントに不正ログインがありました」などと偽のメールが届き、記載されたURLにアクセスして個人情報を入力してしまうトラブルが増加中です。
大手通販サイトや銀行を装ったメールには、特に注意が必要です。URLをクリックする前に送信元を確認し、不審に思ったら直接公式サイトにアクセスしましょう。
子どもの課金トラブル
スマホゲームでの高額課金トラブルも後を絶ちません。中には小学生が親のクレジットカードで数十万円を課金してしまうケースもあります。2022年度の課金トラブルでの購入金額の平均は約33万円だったようです。
子どもがスマホを使う場合は、必ず課金制限をかけたり、決済時にパスワードや指紋認証、顔認証を設定したりするなどの対策をとりましょう。
まとめ
年収1000万円以上の世帯では、9割以上の人がネットを利用している一方、200万円未満の低所得層では3人に1人がネットを利用していません。所得によって利用率に違いはあるものの、全体として見ればネットは多くの人に浸透しています。
ネット普及に伴い、詐欺や子どもの高額課金などのネットトラブルも増えています。安全にネットを活用するためには、適切なネットリテラシーを身につけることが大切です。
出典
総務省 令和5年通信利用動向調査の結果
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者:渡邉志帆
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