親に「高卒で十分」と言われますが、奨学金を借りてでも大学に進学したいです。生涯年収的に“大卒”のほうが有利ですよね?「月5万円」借りると、何歳まで返す必要がありますか?

配信日: 2025.05.22 更新日: 2025.10.21
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親に「高卒で十分」と言われますが、奨学金を借りてでも大学に進学したいです。生涯年収的に“大卒”のほうが有利ですよね?「月5万円」借りると、何歳まで返す必要がありますか?
奨学金を借りて大学に進むか、高校卒で働くかといった選択で悩む高校生は少なくありません。特に、親から「高校卒で十分」と言われているものの、自分は奨学金を借りてでも大学に進学したいと考えている場合、お金に関する将来の展望は気になるところでしょう。
 
本記事では、奨学金の仕組みや返済負担の現実的な金額、大学卒と高校卒の生涯年収の違いなどについて解説します。
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奨学金の基本情報と月5万円借りた場合の返済額

経済的な理由で進学をためらっている人にとって、心強いのが「奨学金制度」です。日本学生支援機構が提供している返済義務のある貸与型奨学金には、利子の付かない「第一種奨学金」と、利子の付く「第二種奨学金」があり、多くの人が有利子の「第二種奨学金」を利用しています。
 
本記事のように、毎月5万円を大学の4年間借りた場合の総額は以下の通りです。
 
・5万円×12ヶ月×4年=240万円
 
この240万円を大学卒業後から返済していくこととなります。
 

奨学金は毎月いくら・何歳まで返済することになる?

それでは、240万円の奨学金を借りた場合、返済はどのように進むのでしょうか? 日本学生支援機構の奨学金貸与・返還シミュレーションにて、次の前提で計算してみましょう。

●学校の種類:大学
●奨学金の種類:第二種奨学金(利息付・貸与型)
●入学年度:2025年度
●奨学金総額:240万円
●利率:1.641%
●機関保証制度:利用する
●返済開始年月:2029年10月

この前提でシミュレーションすると、毎月の返済金額は約1万5000円、返済完了は2044年9月となり、返済金額は利息と合わせて約273万円です。
 
22歳から返済を開始した場合でも、返済完了時点では37歳となるので、かなり長い期間の返済が必要ということが分かります。
 

大学卒と高校卒の生涯年収はどれくらい違う?

奨学金の返済が毎月約1万5000円、約15年間続くのは決して小さな負担ではありません。それでは、奨学金を借りてでも大学に行く価値があるのか? という点に対し、「生涯年収」の観点で見てみましょう。
 
労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2024」によると、退職金や定年以降の収入を含む生涯年収の平均は次のとおりです。

●高校卒/男性:2億6610万円
●大学卒/男性:3億2730万円
●高校卒/女性:1億9430万円
●大学卒/女性:2億5650万円

男女ともに、大学卒のほうが高校卒よりも6000万円程度生涯年収が高くなっています。奨学金を240万円借り、270万円返済したとしても、生涯年収で言えば数千万円単位で「得」になるといえるでしょう。
 

大学卒で働くメリットとデメリット

ここまでの情報を踏まえながら、改めて大学卒で働くメリットとデメリットを考えてみましょう。
 
大学卒で働く最大のメリットは、就職先の選択肢が広がることです。採用条件に「大学卒以上」を掲げている企業は多く、大企業や上級の公務員などへの道も開きやすくなります。また、初任給が高めに設定されているケースが多く、昇進や昇給のスピードも比較的速い傾向にあります。その結果、生涯年収でも高校卒より数千万円高くなるのが実情です。
 
一方、大学進学には学費や生活費の負担があり、奨学金を借りる場合は長期間の返済が必要になる点がデメリットです。また、高校卒でも自分の特性を活かした働き方をしたり、起業して成功したりした場合は、大学卒よりも生涯年収が高くなる可能性もあります。
 

まとめ

高校卒で働くか、奨学金を借りて大学に進学するかは、誰かに一方的に決められるものではなく、自分の将来設計に基づいて判断すべきことです。
 
親の意見も大切ですが、「自分がどう生きたいか」「どんな働き方をしたいか」を軸に考えることが重要です。奨学金の返済は負担になる可能性がありますが、それによって得られる可能性や未来の選択肢は、数字以上に大きな価値があるかもしれません。
 
不安がある人は、奨学金の返済シミュレーションを使ってみたり、進路指導の先生などに相談してみたりするのも良いでしょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーション
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 労働統計加工指標集2024
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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