地方銀行に就職した娘。年収は都市銀行とどのくらい違うのでしょうか?
一般的に都市銀行の方が事業展開をしている規模が大きいですが、それゆえに「都市銀行と地方銀行との間に年収差があるかもしれない」と考える人もいるでしょう。
今回のケースでは地方銀行に就職した娘の収入を親が気にしているようです。本記事では都市銀行と地方銀行の年収差を「有価証券報告書」を基にまとめました。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
都市銀行と地方銀行の違い
都市銀行は大都市を本拠地に、全国的に展開する銀行です。金融庁によれば、具体的には以下のような金融機関が該当します。
●株式会社みずほ銀行
●株式会社三井住友銀行
●株式会社三菱UFJ銀行
●株式会社りそな銀行
一方、地方銀行とは、全国にある大都市や中規模都市を本拠地とし、おもに本店がある都道府県内を営業基盤とする銀行のことで、「一般社団法人全国地方銀行協会」に加盟しています。
同じく金融庁によれば、具体的には以下のような金融機関が挙げられます。
●株式会社北海道銀行
●株式会社千葉銀行
●株式会社群馬銀行 など
一般社団法人全国地方銀行協会によれば、2025年1月現在、全部で61の地方銀行が存在します。
なお地方銀行には「第二地方銀行」と呼ばれる金融機関もあります。地方銀行同様、地域密着型の銀行ですが、旧相互銀行から普通銀行に転換した銀行を指します。「一般社団法人第二地方銀行協会」に加盟しており、2025年5月時点で36行が加盟中です。
都市銀行と地方銀行の年収を比較
ここからは、都市銀行と地方銀行に勤める従業員の給与状況について解説します。有価証券報告書を基にそれぞれ2行を比較し、年収差を見ていきましょう。
なお有価証券報告書は2024年3月期のものをベースとしています。
都市銀行の年収
都市銀行は「株式会社みずほ銀行」と「株式会社三菱UFJ銀行」の2行を例にします。両行の従業員数や従業員の平均年齢、勤続年数とともに、平均年間給与を表1にまとめました。
表1
| 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 | |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社 みずほ銀行 |
2万4784人 | 39.9歳 | 15.7年 | 811万7000円 |
| 株式会社 三菱UFJ銀行 |
3万1756人 | 39.6歳 | 15.7年 | 812万8000円 |
※筆者作成
株式会社みずほ銀行と株式会社三菱UFJ銀行の平均年間給与はおおむね同じ水準のようです。両行とも800万円台となっています。
地方銀行の年収
地方銀行は「株式会社千葉銀行」と「株式会社群馬銀行」の2行を例にします。両行の従業員数や従業員の平均年齢、勤続年数とともに、平均年間給与を表2にまとめました。
表2
| 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 | |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社 千葉銀行 |
3691人 | 38.7歳 | 15.0年 | 766万3000円 |
| 株式会社 群馬銀行 |
2767人 | 41.5歳 | 18.5年 | 723万3000円 |
※筆者作成
株式会社千葉銀行と株式会社群馬銀行では43万円の年収差がありました。株式会社群馬銀行は平均勤続年数が株式会社千葉銀行より長く、平均年齢も3歳ほど上回っていますが、株式会社千葉銀行の方が平均では高い年収を得ています。
都市銀行と地方銀行の年収差は約50万円~90万円
表1表2より、都市銀行2行と地方銀行2行の年収差は、約50万円~90万円でした。月ベースでは4万円~7万円ほどです。
ただし都市銀行の間、あるいは地方銀行の間で多かれ少なかれ年収差があるため、必ずしも地方銀行で働く従業員が都市銀行の従業員よりも低い給料をもらっているとは限りません。
年齢や勤続年数、役職などによって左右される可能性があるため、地方銀行勤めの人が都市銀行勤めの人より多く稼いでいるケースも中にはあると思われます。
都市銀行の方が数十万円年収が高い可能性がある
今回行った比較においては、都市銀行の平均年収が地方銀行の平均年収よりも高い結果になりました。
ただし年収は個々人によって異なります。同じ都市銀行あるいは地方銀行勤めでも、年齢や勤続年数などの要素によって差が出ます。
今回のケースで地方銀行に就職した娘が、都市銀行に就職した同年齢の新入行員よりも多く稼ぐこともあり得ない話ではないでしょう。
出典
金融庁 銀行免許一覧(都市銀行・信託銀行・その他)(1ページ、6ページ)
一般社団法人全国地方銀行協会 地方銀行を知ろう Q1 地方銀行と、メガバンクや第二地方銀行との違いは何ですか。
一般社団法人第二地方銀行協会 加盟地方銀行について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
