「手取り17万円」の新入社員です。求人票には「月給20万円~」とありましたが、それより低いのはなぜですか?

配信日: 2025.05.28 更新日: 2025.10.21
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「手取り17万円」の新入社員です。求人票には「月給20万円~」とありましたが、それより低いのはなぜですか?
新社会人として働き始め、「求人票には月給20万円と書かれていたのに、実際に振り込まれた手取り額は17万円だった……」などと、月給と手取り額の差に驚く方は珍しくないようです。期待していた額と実際の手取り額とのギャップに疑問や不安を感じるのは当然のことでしょう。
 
では、なぜ「月給20万円」と書かれているのに、手元に入る金額がそれより少ないのでしょうか?
 
この記事では「月給」と「手取り」の違い、そして差し引かれる具体的な項目について詳しく解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

「月給」と「手取り」の違いとは?

まず大前提として、「月給=手取り」ではありません。「月給」とは、会社が労働の対価として定めた額面の給与を指します。一方、「手取り」は、そこから税金や社会保険料などの各種控除を差し引いた後に実際に受け取る金額です。
 
例えば、求人票に「月給20万円」と書かれていた場合、それはいわゆる額面給与であり、そのまま全額が支給されるわけではありません。そこからいくつかの費用が天引きされることで、実際に銀行口座に振り込まれる「手取り額」が決まります。
 
このため、月給20万円と書かれていても、手取りが17万円前後になるのは決して珍しいことではなく、むしろ一般的です。
 
では、具体的に何が差し引かれているのでしょうか?
 

給与から引かれる主な項目は? 新入社員が知っておくべき控除

給与から差し引かれる項目には、以下のようなものがあります。これらの金額は、地域や企業、加入制度などによって異なることがありますが、ここでは2025年5月時点における一般的な例をもとに解説します。
 
まず、知っておきたいのは所得税です。これは所得にかかる国の税金です。収入が多いほど税率が上がる「累進課税制度」が採用されています。新入社員の場合、月給20万円なら3000円程度が天引きされることが多いでしょう。
 
続いて住民税があります。こちらは前年の所得に応じて発生するものですが、収入の額などによっては発生しない場合もあります。
 
3つ目に、厚生年金と健康保険料があります。これらは今回のケースにおける手取りと額面の差額3万円のうち大部分を占める、2万8000円程度となるでしょう。
 
そのほか、雇用保険料が1000円程度発生しますが、最低限これらを知っておけば、おおむね自身の手取り額と額面の差について理解できるでしょう。
 

「月給20万円で手取り17万円」は普通? 他の人と比べて少ない?

月給20万円から3万円程度差し引かれて手取りが17万円前後になるのは、ごく一般的なケースです。むしろ「やや高い手取り額」といえるでしょう。なぜなら、住民税の額によっては手取りが16万円程度になることも珍しくはないからです。
 
特に住民税が発生していない場合、あるいは前年の所得が今よりも低かったというような場合、来年以降さらに手取りが減り、17万円を大きく下回る可能性も考えられます。
 

まとめ

新入社員として働き始めたとき、求人票にあった「月給」と実際の「手取り」の差に驚くのは自然なことです。しかし、その差は「不当に引かれている」のではなく、社会保険料や税金といった、将来の生活や医療、年金に備えるための大切な仕組みによるものです。
 
手取りを正しく理解することで、自分の生活設計や貯蓄計画を立てやすくなります。給与明細をよく確認し、「何にいくら引かれているのか」「それは何のためなのか」を知ることで、働くことへの納得感も深まるでしょう。
 
将来的に収入アップを目指すためには、スキルアップやキャリアプランも重要です。まずは、自分の給与の仕組みを知ることから始めてみましょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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