夫婦で「年収600万円ずつ」稼いだ方が、1人で「年収1200万円」稼ぐより手取り額は多いのでしょうか?

配信日: 2025.06.24 更新日: 2025.10.21
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夫婦で「年収600万円ずつ」稼いだ方が、1人で「年収1200万円」稼ぐより手取り額は多いのでしょうか?
近年、共働き世帯の増加に伴い、夫婦それぞれが高収入を得るケースも珍しくなくなっています。例えば、高収入の世帯では「夫婦で年収600万円ずつ稼ぐのと、1人で年収1200万円稼ぐのでは、どちらが手取り額が多くなるのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
 
本記事では、夫婦で年収600万円ずつ稼ぐ場合と、1人で年収1200万円稼ぐ場合、どちらの方が手取りが多くなるのか考えていきます。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年収と手取り額の関係

年収とは、毎月の給与や賞与などを含めた年間の総支給額を指します。それに対して実際に手元に残る金額を手取りといいます。
 
手取りは、基本的に総支給額から所得税、住民税、社会保険料を差し引かれた後の額になります。これらの控除額は、年収が高くなるほど増加する傾向にあり、特に所得税は累進課税制度により、所得が増えるほど税率も高くなります。
 
例えば、住民税所得割の税率は所得に関係なくおおむね10%ですが、所得税はそうではありません。
 
年収600万円で各種所得控除を差し引いた課税所得金額が195万円から329万9000円までである場合、税率は10%(控除額は9万7500円)ですが、1人で年収1200万円稼いで課税所得金額が695万円から899万9000円までとなると、税率は23%(控除額は63万6000円)にアップします。
 
加えて、納税者全員に適用される基礎控除も、1人で年収1200万円を稼ぐ場合、48万円しか適用されませんが、2人で合計1200万円を稼ぐと、2人分で96万円も適用されるなど、基本的には同じ額の収入を稼ぐなら、2人で稼ぐ方が節税になり、手取りも多くなる傾向です。
 

1人で1200万円稼ぐか夫婦で600万円ずつ稼ぐかの違いでどれくらいの差になるの?

参考までに、年収600万円の手取り目安は420万円~510万円程度とされており、夫婦それぞれが年収600万円とすると、夫婦の手取りは840万円~1020万円程度となります。
 
それに対して、1人で年収1200万円を稼ぐと、手取り目安は830万円~860万円程度となり、10万円~200万円近い差がつく場合もあります。
 
とはいえ、実際にどれくらいの差になるのかは、諸条件によって異なるため、あくまで参考程度にしてください。
 

夫婦で年収600万円ずつ稼ぐ場合の注意点

夫婦で年収600万円ずつ稼ぐ場合のメリットを、手取りの増加以外で考えてみましょう。
 
まず、挙げられるのはリスク分散です。夫婦2人で稼ぐ場合は、一方の収入が減少しても、もう一方の収入で生活を維持できるため、経済的なリスクが分散されます。この点、夫ないし妻だけで1200万円を稼ぐケースでは、主たる生計維持者が働けなくなると、収入がほぼゼロになりかねません。
 
さらに、年収が高いということで、ローンを組む際に審査に通りやすかったり、より高額のローンを組めたりする可能性があります。
 
とはいえ、世帯によってはメリット以上にリスクが重くのしかかる可能性もあります。特に、育児・家事の負担増は共働きの場合、夫婦ともに時間的な余裕が少なくなり、今まで以上に大変に感じてしまう可能性があります。
 
それを楽にしようと、保育園や学童保育、習い事などの利用が必要となった場合、追加でそれらの費用が家計に影響を及ぼす可能性もあります。
 
また、夫婦それぞれが忙しく時間がなくなることで、心に余裕がなくなったり、疲労からすれ違いやけんかが増えてしまったりして、家庭の雰囲気が悪化するリスクも考えられるでしょう。
 
共働きを検討する際は、自身の家庭の状況をふまえ、メリット・デメリットをよく考えることが大切です。
 

まとめ

夫婦で年収600万円ずつ稼ぐ場合と、1人で年収1200万円を稼ぐ場合では、手取り額や税負担、生活スタイルに違いがあります。共働きによる収入分散は、税負担の軽減やリスク分散の面でメリットがありますが、育児や家事の負担増などのデメリットも考慮する必要があります。
 
一方、1人で高収入を得る場合は、時間的な余裕が生まれる反面、税負担やリスク集中のデメリットがあります。家族のライフスタイルや価値観、将来設計をふまえ、最適な働き方を選択することが重要です。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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