「新卒正社員・手取り17万円」vs「派遣社員・時給2500円」生涯賃金が“ほぼ同じ”なら、正社員でいるメリットはないの?「退職金・ボーナス」なども含め比較

配信日: 2025.06.23 更新日: 2025.10.21
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「新卒正社員・手取り17万円」vs「派遣社員・時給2500円」生涯賃金が“ほぼ同じ”なら、正社員でいるメリットはないの?「退職金・ボーナス」なども含め比較
働き方の選択肢が広がる今、「安定よりも自分らしさ」や「柔軟な働き方」を求める人が増えています。
 
実際、厚生労働省の調査では、大学卒業後に就職した人の約3人に1人が、わずか3年以内に離職しているというデータがあります。雇用制度としての正社員の安定性は依然高いものの、一人ひとりの価値観やキャリア志向は大きく変化してきているといえるでしょう。
 
こうした背景の中、自由度の高い派遣という働き方を選択する人も増えてきました。
 
では、実際のところ「月収21万円・手取り17万円」の正社員と、「時給2500円・月収40万円」の高時給の派遣社員では、生涯年収約1.9億円でほぼ同じになるのでしょうか。
 
本記事では、社会保険・退職金・昇給率・ボーナスといった要素も加味し、両者の生涯年収を徹底的に比較します。将来の働き方を考える上で、ぜひ参考にしてください。
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正社員と派遣社員の生涯年収はいくらになる?

比較するにあたり、正社員と派遣社員それぞれの条件を設定します。

【正社員】

月給21万円(手取り約17万円)
年間賞与 基本給の3ヶ月分
昇給率 年2%

【派遣社員】

時給2500円
1日8時間、月20日勤務(月:160時間)
月収40万円(手取り約31万円)
年収480万円(賞与・昇給なし)

この条件で40年間勤務した場合の生涯年収は、以下の通りです。

正社員  約1億9026万円(手取り約1億5220万円)
派遣社員 1億9200万円(手取り約1億4880万円)

額面では派遣社員が、概算の手取りでは正社員がわずかに上回りますが、どちらで見てもほぼ同じといって差し支えないでしょう。
 

生涯年収はほぼ同じでも、見えない差がある

年収だけを比べるとほとんど変わりませんが、実際には年収には含まれない部分に大きな差がでます。
まず、代表的なのが退職金です。
 
正社員であれば、企業規模や勤続年数によりますが、大学卒で40年間勤務した場合、1000~2000万円程度の退職金が支給されるのが一般的です。一方、派遣社員には基本的に退職金制度がなく、支給されるケースはほとんどありません。
 
次に、社会保険の負担割合です。
 
正社員の場合、健康保険や厚生年金の保険料の半額を会社が負担しますが、これは派遣社員も同様で、派遣会社の社会保険に加入していれば同じ仕組みが適用されます。
 
ただし、短期契約などの条件によっては社会保険の適用外となるケースもあり、その場合は国民健康保険や国民年金に自分で加入し、保険料を全額自己負担する必要があります。
 
さらに、福利厚生の充実度にも差があります。
 
正社員であれば、住宅手当や家族手当、各種有給制度などが整っている企業は多く、ライフイベントや長期的な生活の安定が期待できます。しかし、派遣社員は正社員ほどの福利厚生が受けられないケースが多いでしょう。
 

時給3000円なら派遣社員が逆転する?

今回の前提である派遣で働く場合の時給2500円だと、年収に換算すると480万円となり、正社員の昇給を含めた生涯年収と比べるとほとんど変わりませんでした。
 
しかし、時給3000円で働いた場合であればどうでしょうか?
 
月収は48万円、年収は576万円となり、40年間での生涯年収は2億3040万円です。このケースでは、退職金を加味しても派遣社員のほうがトータルで上回る可能性があります。
 

まとめ

新卒正社員で「手取り17万円」と派遣社員で「時給2500円」であれば、生涯年収がほぼ同水準になります。ただし、正社員には退職金や福利厚生などの制度的な優位性があり、安定性という面では有利です。
 
一方、派遣社員の時給が3000円を超えるような条件であれば、退職金などを加味しても派遣のほうが生涯年収は上回ります。しかし、現実には40年間ずっと同じ時給や条件で安定して働き続けるのは難しく、契約終了や時給の変動といったリスクもつきまといます。
 
とはいえ、働く場所や時間を柔軟に選べるという自由度の高さを、魅力に感じる人も多いでしょう。特にスキルが高い人であれば、派遣先を変えても一定の収入を維持しやすく、自分らしい働き方を実現しやすいというメリットは何にも代えがたいものかもしれません。
 
そのため、どちらが得かは単純に金額だけで判断できるものではありません。収入を優先するか、安定や保障を重視するかは、個人の価値観とライフプランに合わせた選択が大切になります。
 

出典

厚生労働省 新規学卒者の離職状況 学歴別就職後3年以内離職率の推移
一般社団法人日本人材派遣協会 労働市場・派遣市場の概要 June,2025
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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