中学校教員の平均年収は「660万円」だけど、残業・休日出勤の量を考えると“高い”とは言えない! 教員の夫は「教頭になれば800万円台になるから…」と言いますが、そんなに年収アップするのでしょうか?
特に教員の妻に子どもがいる場合、夫の年収が660万円では専業主婦としてゆとりある生活を送るのは難しいこともあるかもしれません。育児とパートを両立している場合は「せめてもう少し収入があれば、パートを減らして育児の時間を確保しやすいのに」と感じるのも無理はないでしょう。
本記事では、教員の年収や働き方の実態、そして教頭になることで本当に年収が100万円アップするのかについて解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
中学校教師の平均年収と実態
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、公立中学校教員の平均月給は約40万円です。年2回のボーナス(期末・勤勉手当)は月給の4.5ヶ月程度に相当し、地域差はあるものの、単純計算で年収は約660万円となります。
さらに各種手当も加わるため、実際の平均年収は660万円を超えると見られており、安定した収入という印象を持たれやすい職業です。
一方、教員の働き方には長時間労働という大きな課題があるうえ、「教職調整額」として基本給の4%が一律で支払われてはいるものの、残業代は支給されません。
この教職調整額は2026年から毎年1%ずつ引き上げ、6年後の2031年には10%とすることが決まりました。この制度改正は約50年ぶりの見直しとなりますが、こうした処遇改善の動きからも、教員の長時間労働がいかに深刻な問題であるかがうかがえます。
教頭になると年収は100万円アップする?
東京都教育委員会の資料「給与面で処遇が改善されています!」によれば、在職年数17年程度の副校長の年収は約850万円とされています。これは、年収660万円の教員と比べて、約190万円の増加にあたります。
一方、在職年数16年程度の副校長の年収は約700万円とされており、教員からの昇進によって約40万円のアップとなります。
このように、年収の上がり幅には40万円から190万円と幅がありますが、公立学校の教員の給与は民間企業と異なり業績に左右されにくいため、在籍年数や役職に応じて安定的に昇給していくのが特徴です。
なお、東京都の公立学校では2004年度から「教頭」ではなく「副校長」という役職名が用いられており、本記事ではこの「副校長」を前提として記載しています。
16年程度の勤続年数の教員なら、昇進によって年収が800万円台を見込めるという見方も、あながち間違いではないといえそうです。
教頭になるための条件や選考とは
教頭になるための条件や選考内容は、自治体によって異なります。例えば熊本県では「主幹教諭、教諭、養護教諭および栄養教諭で40歳以上」、大分県では「教職経験が5年以上」といった条件が設けられています。
一方で、年齢や経験に明確な制限を設けていない自治体もありますが、多くの地域で「一定以上の教職経験」が求められる傾向は共通しています。
選考方法は地域によって異なるものの、論文・面接・適性検査などを組み合わせた総合評価が一般的です。そのなかでアピールするためには、生徒指導の実績や、主任・学年主任といったリーダー的な役割を担ってきた経験など、これまでの職務経歴が重要になるでしょう。
まとめ
教頭(副校長)に昇進すれば、勤続年数が16年以上ある場合、年収が約100万円アップする可能性があります。また、管理職となることで、部活動指導など教員時代の主な時間外労働からは基本的に外れるため、家庭への影響が軽減される面もあります。
一方で、事故や自然災害などの対応により、休日出勤や時間外勤務が発生する可能性は残ります。とはいえ、「いつごろ昇進試験を受けるのか」「今後どのような働き方を考えているのか」といった見通しが分かれば、夫婦間でも納得しやすくなり、生活設計を前向きに立てられるのではないでしょうか。
出典
総務省 令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要
東京都教育委員会 教員の給与制度
東京都教育委員会 副校長からはじめよう!
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
