「賞与の給与化」で賞与が年2回→1回へ!“その分月収が増える”とのことだけど、同じ年収540万円で「賞与年1回 or ボーナスなし」を比較すると、年間の手取りはどちらが多い? メリット・デメリットも解説

配信日: 2025.06.24 更新日: 2025.10.21
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「賞与の給与化」で賞与が年2回→1回へ!“その分月収が増える”とのことだけど、同じ年収540万円で「賞与年1回 or ボーナスなし」を比較すると、年間の手取りはどちらが多い? メリット・デメリットも解説
「賞与の給与化」が大企業で導入され始めていることが話題になっていますが、この制度は家計にどのような影響があるのでしょうか。
 
本記事では、年収が同じでも賞与の給与化の有無で、どのように税金や社会保険料などの負担額が変わるのかを試算します。
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「賞与の給与化」とは、どんなこと?

「賞与の給与化」とは、これまで夏・冬の年2回程度支給されていた賞与の一部または全部が毎月の給与に上乗せして支払われる制度です。
 
賞与は業績に比例して支払われることが一般的ですが、賞与の給与化で給与と賞与の比率を見直し、業績に左右されない給与水準にすることが目的です。
 
賞与の給与化制度を導入して月給を増やすことで、人材を集めやすくなるのが企業側でのメリットです。
 

働く人へのメリット・デメリットは?

賞与の給与化で、会社員として働くうえでどんなメリットがあるのでしょうか。主に以下のような事柄が挙げられます。
 

(1)家計の安定化

毎月の給与収入に賞与分が上乗せされて手取り金額が増えることで、毎月の支出計画が立てやすくなります。その結果、賞与額の変動による収入不安が軽くなる効果も期待できそうです。
 

(2)長期的な資金計画をしやすくなる

子どもの教育費用や住宅ローン、将来の老後資金など長期的な資金計画の見込みを立てやすくなります。
 
デメリットには、急に発生する可能性がある出費(医療費・車の修理代など)の補填に賞与をあてられなくなる・賞与をもらう回数が減ることでの仕事へのモチベーション低下が考えられます。
 

手取り金額や税金は、どのように変わる?

毎月の給与が増えることで、給与から源泉徴収される税金(所得税・住民税)や社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料)はどのように変わるのでしょうか。
 
それでは、年収が同じで「賞与年2回」「賞与の給与化/賞与年1回」「賞与の給与化/賞与なし」の3通りで、税金や社会保険料などの負担額がどのように変わるのかを試算してみましょう。

<試算の条件>

●40代会社員
●配偶者と17歳高校生の子ども1人を扶養
●年収540万円(額面)

以上の条件で試算してみます。
 

(1)賞与年2回(夏45万円+冬45万円=90万円)でのケース

年収540万円-(厚生年金保険料49万9590円+健康保険料31万6407円+雇用保険料2万9700円+所得税8万1300円+住民税19万1900円)=手取り見込み額428万1103円(月あたり35万6758円)
 

(2)賞与の給与化で賞与年1回(夏45万円、残り45万円は給与に毎月上乗せ)でのケース

年収540万円-(厚生年金保険料49万1355円+健康保険料31万1197円+雇用保険料2万9700円+所得税8万2000円+住民税19万3200円)=手取り見込み額429万2548円(月あたり35万7712円)
 

(3)賞与なしで、年収540万円のケース

年収540万円-(厚生年金保険料48万3120円+健康保険料30万5976円+雇用保険料2万9700円+所得税8万2700円+住民税19万4600円)=手取り見込み額430万3904円(月あたり35万8658円)
 
試算してみると、賞与の給与化での手取り額には約1万円以内の差が出る結果になりました。
 

まとめ

賞与の給与化は、これまで夏・冬の年2回程度支給されていた賞与の一部または全部が毎月の給与に上乗せして支払われる施策です。毎月の給与額が増加する効果があるため、大企業が導入し始めています。
 
賞与の給与化は、試算結果の限りでは年間の手取り額に大きな差はありませんが、自身のマネープランや人生設計に深くかかわる大きな変化になるかもしれません。今後の動向を注視しつつ、家計と将来への資金計画のチェックを時々行ってみましょう。
 

出典

国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
一般社団法人 日本経済団体連合会 2024年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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