日本の「平均年収は460万円」と聞きました。「手取り」にするとどれくらいなのでしょうか? 「生活レベル」も気になります
そこで本記事では、平均年収に対する手取り額を紹介しつつ、平均支出額との家計収支についても解説します。
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平均年収とその手取り
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」を参考に、民間企業に勤める人の平均年収を、男女別で表1にまとめました。なお、表1の平均年収にはボーナスが含まれます。
表1
| 男性 | 女性 | 男女計 | |
|---|---|---|---|
| 1年を通じて勤務した給与所得者 | 568万5000円 | 315万8000円 | 459万5000円 |
| 給与所得者のうち正社員 | 593万6000円 | 412万8000円 | 530万3000円 |
| 給与所得者のうち正社員以外 | 268万5000円 | 169万1000円 | 201万9000円 |
※国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」より筆者作成
民間企業に勤める人の平均年収は、459万5000円ですが、男女間では約250万円の差があります。正社員とそれ以外を比べても、男女間で平均年収に違いがあります。また、正社員とそれ以外の比較でも、平均年収に大きな差があることが分かりました。
年収に対する手取り
手取りとは、月収や年収から社会保険料や各種税金などを差し引いた後に、実際に手元に残るお金、もしくはその金額のことです。生活費などは手取りでやりくりを行うことから、家計収支における収入には手取りの金額を用います。
一般的に、年収に対する手取りの割合は、80%ほどとされています。ただし、社会保険料や各種税金の納税額は、生活環境によって異なるため、月収や年収が同じであっても、差し引かれる金額が異なれば、手取りの割合にも個人差が生じます。
特に、所得税は所得が多くなるほど税率が上がるため、高収入の人ほど手取りの割合が80%を下回ることも少なくありません。
例えば、扶養家族の有無や居住地域、保険の加入状況などの生活環境によって、社会保険料や各種税金に対する控除額が変わることから、同じ年収でも手取りの割合が異なる場合があります。
仮に、手取りの割合を80%として計算すると、民間企業に勤める人の平均年収459万5000円に対する手取り額は、年間で367万6000円となります。月額に換算すると、約30万円です。
平均支出額と理想的な生活費の割合
総務省の家計調査によれば、単身世帯の月の平均支出額は16万7620円です。平均年収の手取りが月々約30万円であることから、13万2380円の黒字です。感じ方は人それぞれとはいえ、家計収支としては余裕があるといえるでしょう。
単身世帯の平均支出額のうち、食費は月4万6391円です。あくまで目安ですが、収入に対する食費の割合は、15%が理想とされています。手取り30万円の15%は4万5000円ですから、理想的な水準といえます。家計収支としては余裕があることから、食費により多くのお金をかけることも可能でしょう。
収入に対する、水道光熱費の理想的な割合は、5%とされています。30万円の手取りであれば、1万5000円です。単身世帯の平均支出額における水道光熱費は1万3045円であるため、同程度の水準といえるでしょう。
住居費の理想的な割合は、収入に対して30%ほどとされています。手取りが月30万円であれば、月9万円です。家賃は地域や物件によって千差万別ですが、東京23区であれば、一部を除く多くの地域のワンルーム、1DKのマンションの家賃相場を超える水準です。東京23区でも家賃相場が低いエリアであれば、1LDKの家賃相場も超えています。
収入に対し、貯金額の理想割合は20%といわれています。月30万円の手取りであれば、月6万円です。単身世帯の平均支出額と理想の貯金額である6万円を合わせると、22万7620円となり、手取り30万円との家計収支では、7万2380円の黒字です。それぞれの費目の支出により多くのお金をかけたり、さらに多くのお金を貯金したりすることも可能でしょう。
これらは、あくまで平均支出額や理想割合を基にした計算と判断ですが、家計収支としては、十分に余裕があるといえます。
家計収支には余裕がある
民間企業に勤める人の平均年収は、459万5000円です。年収に対する手取りの割合を80%と仮定すると、年間の手取りは367万6000円、月額では約30万円です。
単身世帯の平均支出額は月16万7620円ですから、家計収支は13万2380円の黒字になります。収入に対する貯金額の理想割合は20%とされており、手取りが30万円であれば、6万円です。平均支出額にこの6万円を含めても、7万2380円の黒字です。
これらは、あくまで平均支出額を基にした判断ですが、貯金額を増やしたり、さらなる支出に回したりできるお金が、ある程度残されていることを考慮すると、家計収支には余裕があるといえます。平均支出額以上の生活レベルを実現することも可能でしょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
