世帯年収「1000万円以上」の高所得世帯は全国にどれくらいいる? 同じ世帯年収でも「片働き」より「共働き」の方が手取りが多くなるって本当?

配信日: 2025.07.08 更新日: 2025.10.21
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世帯年収「1000万円以上」の高所得世帯は全国にどれくらいいる? 同じ世帯年収でも「片働き」より「共働き」の方が手取りが多くなるって本当?
近年、共働きの家庭が増加傾向にあります。共働きのメリットのひとつとして、世帯年収の増加が挙げられますが、いわゆる高所得とされる「世帯年収1000万円以上」の世帯はどのくらい存在するのでしょうか。また、同じ世帯年収であった場合、片働き世帯と比べて共働き世帯の手取り額は多いのでしょうか。
 
今回の記事では、世帯年収1000万円以上の世帯の割合と、片働き世帯と比べた場合に、同じ世帯年収の共働き世帯の手取り額がどうなるのかについて解説します。
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世帯年収1000万円以上の割合

まずは、世帯年収1000万円以上の高所得世帯の割合を見ていきましょう。
 
以下は、2023(令和5)年の厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」による所得金額階級別世帯数の割合をまとめたものです。

・世帯年収100万円~500万円未満:52.7%
 
・世帯年収500万円~1000万円未満:29.0%
 
・世帯年収1000万円~1500万円未満:8.5%
 
・世帯年収1500万円~:3.1%

100万円~500万円未満が全体の半分以上を占めていることが分かります。そして500万円~1000万円未満が29.0%であり、100万円未満の世帯6.9%も合わせると、年収1000万円未満の世帯が全体の90%近くを占めているのです。
 
以上から、年収1000万円以上の世帯の割合は1割程度と少ないことが分かります。なお、1世帯あたりの平均所得金額は524万2000円で、中央値は405万円という結果でした。
 

同じ世帯年収の場合、片働きと共働きで手取りが多いのはどっち?

実は、世帯年収が同じでも、片働きと共働きでは手取りに差が出ることがあります。その理由のひとつに、所得税における累進課税制度が挙げられます。累進課税制度は、課税される金額が高くなるほど税金も高くなる仕組みです。
 
国税庁によると、所得税の税率は表1のとおりです。
 
表1

課税所得金額 税率 控除額
1000円~194万9000円 5% 0円
195万円~329万9000円 10% 9万7500円
330万円~694万9000円 20% 42万7500円
695万円~899万9000円 23% 63万6000円
900万円~1799万9000円 33% 153万6000円
1800万円~3999万9000円 40% 279万6000円
4000万円以上 45% 479万6000円

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率」を基に筆者作成
 
片働きの場合、稼ぎ手1人の所得に対して税金がかかります。しかし、同じ世帯年収で共働きだと、課税所得金額が分散され、夫婦それぞれに片働きの場合よりも低めの税率で税金がかかるので、手取りに差が出る可能性があるのです。
 

片働きと共働きの手取り額の比較

では、次に片働きと共働きの手取りの違いを具体的な年収で見てみましょう。ここでは世帯年収が1200万円の場合をそれぞれ比較してみます。
 

片働きの場合

・東京都在住の40代夫婦
 
・働いている方の年収は1200万円、配偶者は専業主婦(主夫)
 
・賞与は考慮せず、月収は年収を12で割ったもの
 
・全国健康保険協会に加入
 
・控除は給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除を適用
 
・保険料額および控除額は令和6年度のものを使用

上記の条件で試算した税金と社会保険料の年額は以下となります。

・所得税:122万7690円
 
・住民税:82万300円
 
・健康保険料(介護保険料含む):68万904円
 
・厚生年金保険料:71万3700円
 
・雇用保険料:7万2000円

年収1200万円から上記の合計額を引くと、手取り金額は848万5406円です。
 

共働きの場合

・東京都在住の40代夫婦
 
・夫婦ともに年収600万円
 
・賞与は考慮せず、月収は年収を12で割ったもの
 
・全国健康保険協会に加入
 
・控除は給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除を適用
 
・保険料額および控除額は令和6年度のものを使用

こちらも、片働きのときと同様に1人分の税金と社会保険料の年額を試算します。

・所得税:19万7200円
 
・住民税:30万4700円
 
・健康保険料(介護保険料含む):34万7400円
 
・厚生年金保険料:54万9000円
 
・雇用保険料:3万6000円

年収600万円から上記の合計額を引くと、456万5700円です。今回は夫婦ともに同じ年収という条件の共働きなので、世帯の手取りは2倍の913万1400円となります。
 
片働きと共働きにおける世帯の手取り額をまとめると、

・片働き:848万5406円
 
・共働き:913万1400円

となり、この条件では共働きの方が、手取りが64万5994円多くなります。
 

共働きを選択する際に考慮すべきポイントとは?

一般的に同じ世帯年収の場合、片働きよりも共働きの方が世帯の手取り額は多くなる傾向にありますが、デメリットもあります。そのひとつが、自分の時間を確保しづらくなることです。
 
例えば、役職に就いていれば、年収は高くなることが多いでしょう。その半面、残業や、場合によっては休日出勤など仕事に時間を割くことが多くなりがちです。その結果、家族で過ごす時間が少なくなる可能性があります。この点は、共働きのデメリットといえるでしょう。
 

同じ年収の世帯でも、手取りは片働きよりも共働きの方が多くなりやすい

厚生労働省の調査によれば、世帯年収1000万円以上の世帯は、全体の約12%であることが分かりました。また、所得税の累進課税制度などの影響で、同じ世帯年収である場合、片働きよりも共働きの方が世帯の手取りは多くなる可能性が高そうです。
 
ただし、共働きを選択する際は、手取り額が多くなるなどのメリットだけでなく、デメリットについても家庭内でよく話し合って検討することが大切です。
 

出典

厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 2 所得の分布状況(10ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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