新卒「手取り20万円」です。先輩に「2年目は手取りが減るよ」と言われたのですが、どうしてでしょうか?
この記事では、なぜ2年目に手取りが減るのかについて、理由と仕組みをまとめました。
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住民税の仕組みと新卒給与への影響
2年目の手取りが減る最も大きな原因は、住民税の支払いが始まるためです。
入社1年目は原則、住民税が給与から天引きされません。しかし、2年目の6月になると、前年の所得に基づいて計算された住民税が毎月の給与から天引き(特別徴収)されるようになります。
つまり、社会人1年目と同じ給料だとしても、2年目からは新たに住民税が引かれるため、その分手取り額が減ってしまうのです。
住民税とは? なぜ1年目は払わないの?
住民税は、都道府県や市区町村が提供する行政サービス(教育、福祉、ごみ収集、消防・救急など)の費用を賄うために、その地域に住む個人や法人が納める税金(地方税)です。
住民税は前年の1月1日〜12月31日までの1年間の所得に対して課税されます。
新卒1年目の場合、前年(学生時代)はアルバイトなどで一定以上の収入があった場合を除き、多くは課税対象となる所得がありません。そのため、住民税を納める必要がないのです。
しかし、2年目になると状況が一変します。社会人2年目にとっての「前年」とは、新卒で入社した「社会人1年目」のことです。1年目に得た給与所得を基に住民税が計算され、2年目の6月から徴収が開始されます。
住民税以外に給与から天引きされるもの
総支給額(額面給与)から天引きされるものには、住民税以外にも所得税や社会保険料、組合費、財形貯蓄などがあります。このうち、特に2年目の手取り額に大きく影響するのは所得税と社会保険料でしょう。
所得税とは
所得税は、個人の所得に対してかかる国税です。住民税とは異なり、その年の所得(1月〜12月)に対して課税されます。
所得税額は、給与所得などから基礎控除や扶養控除などを引いて出された課税所得金額に、所得税率を掛けて計算します。
会社員の場合、入社1年目の4月(初任給)から、源泉徴収という形で所得税が天引きされます。この金額は概算の金額です。
そのため、年末にその年の正確な所得が確定した段階で「年末調整」を行い、本来納めるべき税額との差額を精算する必要があります。所得税を払い過ぎていれば還付され、不足していれば追加で徴収されます。
社会保険料とは
手取り額に影響を与えるもう1つの要素が社会保険料です。社会保険料には、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などがあります。
全国健康保険協会によると、このうち健康保険料と厚生年金保険料は「標準報酬月額」と「標準賞与額」を設定し保険料の額や給付の額が計算されます。標準報酬月額とは、給与などの月額報酬を一定の幅で区分したもので、標準賞与額は賞与の総額から1000円未満を切り捨てたもののことです。
新卒1年目から2年目にかけて昇給する場合、定時決定によって標準報酬月額の等級が上がり、結果として社会保険料の負担額も増える可能性があります。そのため、新たな保険料率が適用されるタイミングで手取りがさらに減少する場合もあるでしょう。
2年目からは、1年目にはなかった住民税が天引きされるため、手取りが減る
「2年目は手取りが減る」のは、一般的に1年目は住民税がなく、2年目の6月から、1年目の所得に基づき計算された住民税が給与から天引きされることが理由です。
また、昇給などにより社会保険料が改定されると、さらに手取りが減少する可能性もあるでしょう。事前にこの仕組みを理解し、住民税が引かれない1年目のうちから、計画的に家計を管理しましょう。
出典
全国健康保険協会 標準報酬月額・標準賞与額とは?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
