「夏のボーナス70万円」をどう使う? 住宅ローンの繰り上げ返済と貯金、どちらがいいのでしょうか?

配信日: 2025.07.10 更新日: 2025.10.21
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「夏のボーナス70万円」をどう使う? 住宅ローンの繰り上げ返済と貯金、どちらがいいのでしょうか?
今年のボーナスが支給されるとしたら、何に使うべきか悩む方も多いのではないでしょうか。家計の負担を軽くするために住宅ローンを繰り上げ返済するか、あるいは将来に備えて貯金や資産運用に回すか迷うかもしれません。
 
ただし、それぞれの選択にはメリットとデメリットが存在します。本記事では夏のボーナスで70万円支給される方を例に、両者を比較しながらボーナスの賢い使い道を考えていきます。
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まずは家計の状態を考える

夏のボーナスは、まとまった金額が手に入る貴重な機会です。何にどれだけ使うかを考えることで、将来に向けた家計の立て直しや資産形成のきっかけになるでしょう。
 
「なんとなく貯金」「取りあえず旅行」といった使い方も悪くはありませんが、それでは生きたお金の使い方ができない可能性があり、無計画に使い切ってしまうかもしれません。
 

家計の現状把握が大切

ボーナスを有効に活用するためにも、まずは今の家計の状態を把握することが大切です。例えば、以下のような点を確認してください。


・月々の生活費に対して収支は黒字か赤字か
・毎月の住宅ローン返済額と残債の金額
・手元にすぐ使える生活防衛資金がどの程度あるか
・今後のライフイベント(出産、進学、転職、退職など)の予定

これらを踏まえたうえで、「住宅ローンの繰り上げ返済で負債を減らすべきか」「貯金・運用に回すべきか」の判断軸が定まります。収支が安定していてローン金利が高ければ、繰り上げ返済が有利に働き、将来的な出費に備える必要があれば、貯金に回す方が安全です。
 

多くの人が選ぶボーナスの使い道

消費者庁が2019年に発表した「ゴールデンウィークの過ごし方及びボーナスの使途予定に関する意識調査結果」によると、20~50代におけるボーナスの使い道は図表1の通りです。
 
図表1

全体 20代 30代 40代 50代
貯蓄 29.7% 35.5% 42.4% 37.6% 31.4%
ローンの返済 11.8% データなし 14.0% 13.3% 15.4%
国内旅行 11.5% 19.4% 12.7% 13.3% 12.7%

消費者庁「ゴールデンウィークの過ごし方及びボーナスの使途予定に関する意識調査結果」を基に筆者作成
 
いずれの年代も「貯蓄」が第1位で、30~50代では「ローンの返済」が2位という結果になりました。多くの人が、将来に備えた貯蓄やローンの繰り上げ返済に、ボーナスを活用していることが分かります。
 
一方、ローンを抱えている人がまだ少ない20代では、ファッションや趣味、娯楽などにボーナスを使う傾向が見られます。
 

住宅ローンを繰り上げ返済するときの注意点

住宅ローンの繰り上げ返済には、主に以下の2つの方式があります。


・期間短縮型:返済額はそのままにし、返済期間を短縮する
・返済額軽減型:返済期間はそのままで、月々の返済額を減らす

利息の軽減効果を狙うなら、期間短縮型がおすすめです。返済初期の段階で実行すればするほど、また、繰り上げ返済の額が多いほど、将来払うはずだった利息を大きく圧縮できます。
 

70万円でどれくらい利息は減る?

例えば、以下の条件で住宅ローンを組んでいる場合を想定してみましょう。


・借入額:3000万円
・金利:1.0%(全期間固定)
・借入期間:35年
・返済開始から5年が経過
・70万円を期間短縮型で返済

このケースでは、70万円の繰り上げ返済により利息が約21万円軽減され、返済期間は11ヶ月短縮できます。
 
なお、実際の短縮期間は、繰り上げ返済時点の元金・利息の割合や残期間によって異なります。返済初期は支払いの多くが利息に充てられるため、元金返済が少なく、短縮効果も低くなりやすい点に留意してください。
 

注意点

繰り上げ返済を行うと、手元資金が減るリスクに注意が必要です。
 
また、住宅ローン控除を利用している場合、控除額はローン残高に応じて決まります。繰り上げ返済して残高が減ると控除額も減ってしまうため、控除期間が終わってから繰り上げる方がよいこともある点に、注意しましょう。
 

貯蓄に回すときの注意点

ボーナス70万円を使わずに手元に残すと、病気やけが、急な出費、仕事の変化など万が一の事態にも対応できるメリットがあります。
 
まずは生活防衛費として、6ヶ月分程度の生活費を優先的に確保するのがおすすめです。そのうえで、余裕があればローンの繰り上げ返済や投資などを行うとよいでしょう。
 

低金利の貯金に頼るだけでは資産が育たない

日本の普通預金金利は0.2%程度と超低金利で、70万円を1年間預けても、利息は1400円程度にとどまるのが現実です。さらに、利息からは税金が引かれます。これでは、物価上昇に追いつけません。
 
そのため貯蓄だけではなく、積立型の資産運用(NISAやiDeCo)なども検討してみるとよいでしょう。
 

家計状況で最適な方法を選ぼう

ローンの繰り上げ返済と貯蓄のどちらがよいのかは、家計状況や価値観により決まります。住宅ローンの繰り上げ返済は長期的な利息軽減というリターンがありますが、一方で貯金や資産運用もまた、将来への備えに役立つのがメリットです。
 
自身の家計状況やライフプランに照らしながら、適切な使い道を考えていきましょう。
 

出典

消費者庁 ゴールデンウィークの過ごし方及びボーナスの使途予定に関する意識調査結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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