会社の先輩から「来年に月1万円くらい手取りが減る可能性があるよ」と教えてもらいました。「入社2年目」になるのになぜでしょうか…?

配信日: 2025.07.14 更新日: 2025.10.21
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会社の先輩から「来年に月1万円くらい手取りが減る可能性があるよ」と教えてもらいました。「入社2年目」になるのになぜでしょうか…?
入社から2年目となれば給料アップを期待する人も少なくありませんが、実際には1年目と比べて手取り額が減るおそれがあります。本記事では、入社2年目から手取りが減る理由となる住民税徴収の仕組みを解説しましょう。具体例として、初年度の年収が300万円だった場合の住民税の変動もご紹介します。
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住民税の徴収がはじまる新卒2年目は手取りが減るおそれがある

総務省によると、個人住民税は地域社会の会費のような性格を持つ地方税で、所得割の税率は課税所得金額に対して10パーセントかかります。この課税所得金額は前年中の所得から算定されるため、学生の時の所得が基礎控除額より低かった場合、新卒1年目では住民税がかかりません。
 
しかし、2年目になると新卒1年目の所得から算定されるようになるため、6月以降の給与から天引きで住民税を納付する特別徴収が始まります。昇給を加味しても、新卒1年目と2年目とで給与が大きく変わるケースはほとんどないため、特別徴収が始まる2年目から手取りが減るといわれるのです。
 
また、4月に入社した場合、2年目では新卒1年目の4月~12月までの所得を基に計算されます。3年目以降では新卒2年目の1月~12月の所得を基に計算されるため、さらに税額が高くなると予想されます。
 

初年度の年収が300万円だと「毎月1万円程度」の住民税が引かれる可能性

例として、初年度の年収が300万円だった場合の住民税を表1にまとめました。なお、東京都在住で所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみを考慮し、社会保険料控除額は額面年収の15パーセントで概算しています。細かな計算は省略しているため、実際には算出した住民税額より低くなる場合もあるでしょう。
 
表1

額面年収 300万円
給与所得控除 98万円
給与所得 202万円
基礎控除 48万円
社会保険料控除 約45万円
課税所得金額 約109万円
所得割額 約10万9000円

※筆者作成
 
1年あたりの所得割額は10万9000円であることが分かりました。住民税は上記の10万9000円に均等割りの5000円を加算したものになるため、年間11万4000円、1ヶ月あたり9500円ほどひかれるでしょう。
 

20歳代の金融資産保有額は中央値で「9万円」

金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」によると、20歳代の金融資産保有額は平均で121万円、中央値で9万円となっています。また、金融資産を保有していない20歳代の割合は43.9%であることから、貯蓄や資産運用が難しいことが分かります。
 
入社2年目になると手取りが減って厳しいかもしれませんが、無理のない範囲で貯蓄や資産運用も検討しましょう。
 
特に、確定拠出年金の利用は効果的です。確定拠出年金とは、拠出された掛金とその運用益の合計額をもとに給付額が決定される年金制度を指します。確定拠出年金の掛金は全額所得控除となるため、所得税や住民税の負担を軽減できるでしょう。
 
なお、確定拠出年金には事業主が掛金を拠出する企業型DCと、加入者自身が拠出するiDeCoの2つがあります。将来の年金額が確定しない点や、原則として60歳まで資産が引き出せない点には注意が必要ですが、将来の生活の安定に役立てながら税金対策にもつながる有効な手段といえます。
 

まとめ

住民税の課税所得金額は前年中の所得から算出されるため、前年中の所得が基礎控除額より低ければ新卒1年目において住民税はかかりません。しかし、2年目になると新卒1年目の所得を基に計算されるため、住民税の特別徴収が始まり、手取りが減ってしまうでしょう。
 
しかし、将来に向けた計画的な貯蓄は大切です。手取りが減って厳しいかもしれませんが、無理のない範囲で貯蓄や資産運用の検討をおすすめします。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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