4月~6月に残業すると手取りが減ると聞きました。7月~9月に残業した場合は手取りに影響があるのでしょうか?

配信日: 2025.07.15 更新日: 2025.10.21
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4月~6月に残業すると手取りが減ると聞きました。7月~9月に残業した場合は手取りに影響があるのでしょうか?
「4月~6月に残業をすると手取りが減る」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。この情報は誤解ではなく、社会保険料の仕組みに基づいています。
 
では、7月~9月に残業した場合も同じように手取りが減ってしまうのでしょうか?
 
本記事では、社会保険料の決まり方や、残業するタイミングによってどのような影響があるのかを解説します。将来の手取りや働き方に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
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4月~6月の残業で手取りが減るのはなぜ? 仕組みを解説

社会保険料は、会社員であれば毎月の給料から自動的に引かれています。この保険料は、給料の金額に応じて決まっており、国が定める「標準報酬月額」という制度を基に計算されます。
 
この標準報酬月額は、原則として4月~6月の給与の平均で決定され、9月から翌年8月までの1年間適用されます。つまり、4月~6月に残業が多くなって給与が増えると、その平均値が高くなり、結果としてその後1年間の社会保険料も高くなるのです。
 
社会保険料が上がると、手取り額(実際に受け取れる給与)が少なくなるため、「4月~6月に残業すると手取りが減る」といわれるのです。
 

7月~9月の残業は手取りに影響する? タイミングがポイント

では、「7月~9月」に残業をした場合も、影響が出るのでしょうか?
 
結論からいうと、7月~9月の残業が直接その年の社会保険料に影響することはありません。というのも、7月~9月の給与は、標準報酬月額の定時決定の対象外だからです。
 
ただし、例外もあります。それが「随時改定」という制度です。これは、昇給や固定手当の増額など固定的賃金が大きく変わったときに、標準報酬月額を見直す仕組みです。具体的には、3ヶ月連続で月収に大幅な変動があった場合などに見直されます。
 
そのため、4月~6月以外の残業だけでは社会保険料は上がりませんが、昇給などで大幅に給与が上がった場合は、随時改定によって手取りが減るケースもある、ということは覚えておきましょう。
 

手取りを減らさないために気をつけたいこと

社会保険料による手取り減を防ぐには、まず自分の会社の給与締め日・支払日を確認しましょう。
 
実際に保険料の算出対象となる月は、4月~6月に支払われた給与です。締め日や支払日の関係で「3月~5月の勤務分」が対象になるケースもあります。その上で、以下の点に注意しておくと安心です。


・4月~6月(または3月~5月)の残業を抑える
・昇給や固定手当の増額があったときは「随時改定」の対象になるか確認する

また、一時的な手取りの減少と引き換えに、将来の年金や給付が増えるメリットもあります。標準報酬月額が上がることで、将来受け取る年金額や、病気・出産で働けなくなったときに支給される手当(傷病手当金・出産手当金)も増える可能性があります。
 

まとめ:社会保険料を理解すればムダな不安を避けられる

「4月~6月に残業すると手取りが減る」という話は、社会保険料の仕組みに基づいたものです。ただし、7月~9月の残業については、通常はその年の社会保険料には影響せず、安心して働ける時期といえるでしょう。
 
とはいえ、昇給や固定手当の増額などで「随時改定」の対象になる場合もあるため、給与の変動には注意が必要です。また、社会保険料の増加は一時的な負担ではありますが、将来の年金や手当の額にも関わる重要な要素です。
 
制度を正しく理解することで、ムダな不安を避け、より納得のいく働き方が選べるようになります。迷ったときは、会社の人事担当や社会保険労務士に相談してみることもおすすめです。
 

出典

日本年金機構 標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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