正社員の保育士として働いており、手取りは「月18万円」ほど。パートの人は「時給1400円」で働いています。もしかして、パートで働いたほうが稼げますか？

「正社員でしっかり働いているのに、手取りは月18万円。一方、同じ職場で働くパートさんは時給1400円。なんだか自分のほうが損している気がする…」
 
そんなモヤモヤを感じていませんか？
 
本記事では、正社員とパートの保育士の収入・待遇の違いを、手取りベースで比較。数字でわかる「お得度」に加え、将来的な安定性や働き方の柔軟さまで考慮し、あなたにとって最適な働き方のヒントをお届けします。

正社員の保育士、手取り18万円は少ない？

まずは、パート保育士の割合から見てみましょう。
 
全国保育協議会が行った「全国保育協議会 会員の実態調査 2021」によると、非正規職員の平均割合は38.7％でした。そして、正社員保育士の平均賃金は304.1万円、月給にすると25万円前後の人が多く、手取りはそこから各種税金や社会保険料が差し引かれて約18～20万円前後になるケースが一般的です。
 
たとえば、月給20万円の場合、以下のような控除が発生します。

●健康保険、厚生年金、雇用保険
約2万5000〜3万円
 
●所得税・住民税
約1万円前後

その結果、手元に残る金額は14〜16万円程度になることも珍しくありません。加えて、給食費や共済費など独自の天引きがある園では、さらに少なくなる可能性もあります。「正社員＝安定」というイメージがある一方で、「思ったより生活が苦しい」と感じる人が多いのは、給与水準や控除の影響によるものです。
 

パート保育士の時給1400円はどれくらい稼げる？

一方、パートで時給1400円の場合、働く時間によって大きく収入が変わります。
 
たとえば、1日8時間 × 週5日（＝月160時間）で働いた場合、
 
1400円 × 160時間 = 月収22万4000円（額面）
 
月収22万4000円の場合、社会保険の加入条件を満たすため、ほとんどの場合は社会保険への加入が必要となります。社会保険に加入すると、健康保険料や厚生年金保険料も控除されるため、手取りは18万円前後になるケースが多いです。
 
しかもパートは「扶養の範囲で働く」「自由なシフトで働く」など、ライフスタイルに合わせやすい点も魅力。育児や介護との両立を考える人にとって、柔軟な働き方ができるのも大きなメリットです。
 

正社員とパート、どちらが「お得」なのか比較してみた

ここで、具体的な比較をしてみましょう。
 
【表１】

比較項目	正社員（手取り18万円）	パート（時給1400円）
月収（手取り）	約18万円	約20万円前後
ボーナス	あり（年20～40万円）	原則なし
昇給	あり（年1回程度）	原則なし
社会保険	完備	条件次第（未加入なら控除少）
有給・福利厚生	あり	勤務条件による
キャリアパス	昇進や管理職の道あり	限定的

※筆者作成
 
一見すると『パートのほうが手取りが多い』ように見えますが、実際には社会保険加入が義務となるため手取りは正社員と同程度です。年間収入や福利厚生、キャリアパスを含めて長期的に見ると、正社員の安定性や待遇面の優位性も大きいです。
 

手取りだけで判断しない。あなたに合う働き方を選ぼう

確かに、手取り収入だけで見れば「パート保育士の方が稼げる」ケースも多いです。しかし、ボーナス・昇給・社会保険・退職金など、目に見えない価値も正社員にはあります。
 
今の働き方に不満があるなら、まずは「時給換算」で自分の収入を見直してみるのがおすすめです。そのうえで、ライフスタイルや将来設計に合った働き方を選んでいくことが、後悔しないキャリア選びにつながります。
 

出典

全国保育協議会　全国保育協議会 会員の実態調査 2021
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー