平均給与は5年前から「20万円」増だけど、前年比では「0.4%」増…物価上昇をふまえると、本来“給与”はどれくらいであるべき?「消費者物価指数」をもとにシミュレーション
実際に物価の上昇に対して給与の上昇がどれほど足りていないのか、理想の給与額はいくらなのか、調査しました。
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平均給与 最新の伸び率は0.4%増
国税庁の民間給与実態統計調査によると、2023年の平均給与は前年に比べて0.4%増加しました。男女別にみると男性0.9%増、女性0.7%増という結果でした。平均給与および対前年伸び率の推移は図表1のとおりです。
図表1
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
図表1のグラフは2014年(平成26年)から始まっています。2024年分はまだ調査結果が出ておらず、2025年7月現在、最新の2023年分のデータを採用しました。これによると2014年(平成26年)からの平均給与増加額は39万円で、5年前の2018年(平成30年)と比べると21万円増えました。
前年比の伸び率を見ると、2023年(令和4年)の2.7%増が最も変動した年でしたが、マイナスの年もあることが分かります。2014年と2024年を比べると、9.3%増でした。
消費者物価指数
データ上の給与は上昇していますが、物価上昇率はどうなっているのでしょうか? 物価上昇率は、消費者物価指数の動きから確認できます。
総務省が毎年発表している消費者物価指数は、5年ごとに基準年が改められています。最新の2024年版では、2020年を基準(100)とし、平均総合指数は「108.5」という結果でした。
消費者物価指数は10個の費目に分けられています。指数が高い順に図表2にまとめました。
図表2
総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)平均 をもとに筆者作成
一番高騰しているのが「家具・家事用品」で、次が「食料」です。特に食料は2023年に前年比8.1%増え、2024年にも前年と比べ4.3%増という結果になりました。
前項の平均給与は2014年からの推移を見たので、2014年の消費者物価指数がどうだったか確認してみましょう。2014年の消費者物価指数は2020年を基準(100)として97.5です。
物価の上昇率を調べるために、指数の変化率を求めます。計算式は省きますが、指数の変化率は2014年から2024年で11.3%増でした。食料だけで見ると指数は2014年から2024年で28.5%増と大幅な伸びを見せています。
まとめ
2014年から2024年までの平均給与の増加率が9.3%なのに対して、消費者物価指数は11.3%増ですから、2.0ポイントの開きがあります。では仮に、平均給与が11.3%上昇していたら、いくらになっていたでしょうか?
421万円×11.3%=約47万6000円
421万円+47万6000円=約468万6000円
近年は食料などの値上げが続いて家計の負担が大きくなっているので、「食料品の値上げと同じくらい給与も上がってほしい」と感じている人もいるのではないでしょうか。その場合、給与も28.5%増えるなら受け入れられるでしょう。こちらも実際に計算します。
421万円×28.5%=約120万円
421万円+120万円=約541万円
消費者物価指数に合わせるなら約468万6000円、食料品の値上げに合わせるなら約541万円の給与をもらわないといけない計算になりましたね。
「これだけの給与をもらえたなら、生活が楽になるだろうな」と考えてしまいます。机上の空論ではありますが、 賃金の上昇を願わずにはいられません。
出典
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)平均
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー


