大学生の息子が「初任給40万円」の企業を志望! 親の自分は「年収500万円」ですが、今の初任給ってそんなに高いんですか?“40代の平均年収”も確認
本記事では、初任給の実態や、45歳で年収500万円は今の日本においてどのような水準なのかを解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
初任給40万円は珍しくない?
帝国データバンクの2025年度調査によると、新卒の初任給を引き上げると回答した企業の割合は全体の71.0%で、平均引き上げ額は9114円でした。多くの企業が、物価高や人手不足を背景に優秀な人材の確保を目指して、初任給を引き上げているといえるでしょう。
例えば、IT・インターネット業界大手のサイバーエージェントでは、新卒社員に対し、初任給42万円(年俸制504万円)を提示しています。ひと昔前では考えられなかった高水準ですが、今ではこうした待遇を打ち出している企業も多くあります。
とはいえ、これはあくまで一部の先進的な業界・企業の話であり、一般的な初任給の平均はそこまで高いわけではありません。
一般財団法人労務行政研究所の「2025年度 新入社員の初任給調査」によると、東証プライム上場企業197社の、2025年度の大卒初任給の平均は25万5115円です。同調査の対象は東証プライム上場企業ですので、世間一般的な水準はさこれより低い場合が多いでしょう。
つまり、初任給は引き上げ傾向にあるものの、「40万円」は依然としてごく一部の例外的な水準といえます。
45歳年収500万円は少ない? 妥当?
息子が新卒で初任給500万円の企業に勤めるかもしれないと聞くと、「自分の45歳で年収500万円は少ないほう?」と思うかもしれません。
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は約460万円です。年齢別で見ると、40~44歳が約501万円、45~49歳が約521万円ですので、45歳で年収500万円は、年代別平均をやや下回りますが、大きく乖離(かいり)しているわけではなく、おおむね平均的な水準といえるでしょう。
親として「比べる」のではなく「支える」のが大事
わが子が高い初任給の企業を志望すると、自分と比べてしまう気持ちが生まれるのは自然な感情かもしれません。しかし、親として本当に大切なのは「比較」ではなく「応援」です。
現代の若者は、昔よりも不確実性の高い時代を生きています。高い初任給を得ても、将来にわたって必ずしも安定したキャリアが保証されるわけではありません。物価高や年金不安、人工知能(AI)の台頭や業界再編といった変化の中で、彼らは彼らなりに戦っていく必要があります。
親としては、「自分の頃はこうだった」と悲観的になるより、子どもに寄り添い、実用的なアドバイスをするほうが子どもにとって心強い存在となれるでしょう。
世代間で異なる「お金」と「働き方」の価値観
子どもにアドバイスをする際には、世代間の価値観の違いを心にとめておきましょう。
親世代が「年功序列」「終身雇用」などの長期安定を重視していたのに対し、今の若者は「成果主義」や「ワークライフバランス」「副業・リスキリング」など、自分らしい生き方・働き方を重視する傾向があります。
初任給がいくらかよりも、「その企業でどんな経験が積めるか」「将来的にどんな人材になれるか」に価値を見いだしている学生も少なくありません。年収や待遇にばかり目を向けるのではなく、そうした価値観の変化も理解してあげることが、親としてのサポートにつながるでしょう。
まとめ
初任給の引き上げが話題となる今、子どもと自分の収入を比べてしまうのは自然なことです。しかし、45歳で年収500万円は決して低くなく、これまで築いてきた経験や家族を支えてきた重みは何ものにも代えがたい価値ともいえます。
大切なのは、世代間の価値観の違いを受け入れながら、子どもの選択を温かく見守り、支える姿勢です。親の役割は競うことではなく、子どもが気持ちよく未来へ歩みだせるよう、上手に背中を押すことだといえるでしょう。
出典
株式会社帝国データバンク 初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)
一般財団法人労務行政研究所 2025年度 新入社員の初任給調査
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
