「106万円の壁」がなくなると聞きました。現在パートで「年収100万円」ほどですが、手取りが“10万円”以上減るって本当ですか? 金額をシミュレーション

配信日: 2025.07.18 更新日: 2025.10.21
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「106万円の壁」がなくなると聞きました。現在パートで「年収100万円」ほどですが、手取りが“10万円”以上減るって本当ですか? 金額をシミュレーション
物価高が続く中、家計の足しにとパート勤務をしている人にとって、「106万円の壁」は身近な関心事でしょう。「106万円の壁があるから、年収を100万円以内に抑えている」という人も多いのではないでしょうか。
 
そんな中、「106万円の壁がなくなる」というニュースが話題になりました。「今後は年収100万円でも社会保険に入ることになる?」「その場合、手取りはいくら減る?」と不安に思っている人も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、そもそも「106万円の壁」とは何か、制度変更によって何が変わるのか、そして実際に年収100万円の人の手取りはどうなるのかを解説します。
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「106万円の壁」って何?

「106万円の壁」とは、パートやアルバイトの人が年収106万円を超えると、一定の条件下で社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が発生するラインを指します。
 
このラインを超えると、本人の給与から保険料が差し引かれ、手取りが減ってしまうため、「年収を106万円以内に収めよう」と考える人は少なくありません。
 
現在の制度では、収入の要件を含め、以下の5つの条件全てに当てはまると、社会保険の加入義務が生じます。
 

1. 週の所定労働時間が20時間以上
2. 月収が8万8000円(年収約106万円)以上
3. 勤務期間が2ヶ月を超える見込み
4. 学生ではない
5. 従業員数が51人以上の企業で働いている

 

106万円の壁がなくなるってどういうこと?

2025年6月、年金制度改正法が成立し、「106万円の壁」が実質的に緩和されることが決まりました。
 
具体的には、2026年10月からは、まず月収の要件が撤廃されます。また、社会保険の適用対象となる企業の規模が「従業員51人以上」から「従業員規模を問わず」へと拡大される方向です。これらは2026年10月から一斉に適用されるというわけではありませんが、段階的に見直されていきます。
 
つまり、将来的には小規模な店舗や事業所で「年収106万円未満」で働くパートの人も、条件を満たせば社会保険に加入することになります。
 

年収100万円の人の手取りは、どれくらい減るのか?

年収100万円のパート勤務の人が、社会保険に加入する場合、実際にどれくらい手取りが減るのでしょうか。東京都で協会けんぽ加入の場合、厚生年金保険料と健康保険料で想定される負担金額は次のとおりです。
 

・厚生年金保険料:8052円
・健康保険料:5060円

 
このように、月間で約1万3000円の負担ですので、年間にすると約15万6000円です。そのため、年収が100万円だとしても、手取りは約84万4000円に減少する計算になります。
 

社会保険に入るメリットもある

「手取りが10万円以上も減るなんて……」と驚くかもしれませんが、社会保険に加入することによるメリットも忘れてはいけません。
 
主なメリットとして、以下が挙げられます。
 

・将来の年金額が増える(厚生年金分が上乗せされるため)
・所定の条件を満たした場合、傷病手当金や出産手当金がもらえる

 
どちらも生活を安定させる一助となり得ますので、ただ手取りが減るだけではなく、場合によっては払った金額以上の恩恵を受けられる場合もあるでしょう。
 

まとめ

106万円の壁が見直されることで、将来的に、年収100万円の人の手取りは10万円以上減少する可能性があります。とはいえ、自身で社会保険に加入すると、将来の年金増額や各種給付など、得られる保障も大きくなります。
 
制度変更を目先の損得だけでなく、長期的な安心を得る機会と捉えれば、自分に合った働き方を見直す良い機会ともいえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
全国健康保険協会 令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
厚生労働省 社会保険加入のメリットや手取り額の変化について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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