パート先の時給が1020円と物足りません…。九州では高い方だといえるのでしょうか?
この記事では、九州地方を例に、地域別の最低賃金や実際の求人データを基に、時給の妥当性を見ていきます。
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九州地方のパート時給事情は? 最低賃金で比較
パートやアルバイトで働く際、時給は働くモチベーションやそれぞれの生活に大きな影響を与えます。「時給1020円」の場合、九州地方では高い方なのでしょうか?
全国的に最低賃金は年々引き上げられていますが、地域差があります。九州各県の最低賃金は表1の通りです。
表1
| 地域 | 最低賃金 |
|---|---|
| 福岡県 | 992円 |
| 佐賀県 | 956円 |
| 長崎県 | 953円 |
| 熊本県 | 952円 |
| 大分県 | 954円 |
| 宮崎県 | 952円 |
| 鹿児島県 | 953円 |
出典:厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金改定状況」を基に筆者作成
時給1020円は九州全体の最低賃金より30~70円ほど上回る水準です。特に最低賃金近辺で求人を探す方にとっては、時給1000円を超えていれば決して低いわけではありません。
九州地方の平均時給との比較
地域の最低賃金を超えていても、実際の求人・勤務現場での「平均時給」と比較しなければリアルな水準感は分かりません。
2025年7月1日時点でのある求人サイトのデータによると、九州・沖縄のアルバイト・パート・派遣全体の平均時給は1264円との結果が出ています。
ただし、これは専門職や短期高時給求人を含むため、「飲食」「販売」「コンビニ」など、一般的なパートに多い職種の平均時給では、1000~1100円が目安です。具体的には、例えば7月14日時点における福岡県の飲食業の平均時給は1083円、販売は1101円、コンビニスタッフは1010円となっています。
また、佐賀県や大分県でのコンビニスタッフの平均時給は1000円を下回っており、地域と職種で多少差があることが分かります。
時給1020円では物足りない理由
時給が最低賃金を上回っていても「物足りない」と感じる背景には、物価の高騰や生活コスト全体の上昇があります。近年は円安の影響で物価が上がり続け、光熱費も上昇しています。
また、全国の最低賃金の加重平均額は時給1055円ですが、九州ではすべての地域で時給1000円を下回る状況です。そのため、「東京では時給1200円超」といった都会の水準と比べると、ギャップを感じやすいでしょう。
さらに、年収に関する「壁」も影響します。例えば、所得税が発生する年収ラインにおいては、多くの人がその壁の額を超えないように調整しているといわれています。このため、時給上昇=可処分所得増とはなりにくい現実があります。
まとめ
九州圏で時給1020円は最低賃金を超え、職種によっては平均的、もしくはやや上の水準といえます。ただ、近年の急速な物価上昇や全国的な賃金アップ傾向に比べて「もっと欲しい」と感じるのも自然なことです。
今後は求人情報を複数比較し、自分の業務内容やスキル、勤務条件と照らしあわせたうえで、時給交渉や転職を検討するのもひとつの方法です。
出典
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧 令和6年度地域別最低賃金改定状況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
