教員採用試験に通っていない先生は公立学校勤務でも「公務員」ではないの? 「正規教員」と「年収」の違いはどのくらい?

配信日: 2025.07.26 更新日: 2025.10.21
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教員採用試験に通っていない先生は公立学校勤務でも「公務員」ではないの? 「正規教員」と「年収」の違いはどのくらい?
公立学校に勤務する教員の中には、教員採用試験に合格せずに、非常勤や臨時的な形で授業を担当している方もいます。非正規雇用の教員は、雇用形態により正規職員と仕事内容や年収が異なるようです。
 
そこで今回は、東京都の制度を参考に教員の雇用形態や年収面での違いについて詳しく解説していきます。
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任期が定められている非正規教員も公務員となる

公立学校で働く教員は、おもに正規教員と非正規教員の2種類の雇用形態に分けられますが、どちらの雇用形態も公務員として勤務します。ここでは、東京都の事例を参考に詳しく見ていきましょう。
 
正規教員は、自治体の教員採用試験に合格し公務員として採用されることが通常の流れです。定年まで安定して勤務でき、昇給やボーナス、退職手当や各種手当なども支給されます。授業だけでなく、クラス担任や校務分掌など、学校運営全般を担うことが特徴です。
 
一方、非正規教員には、さらに常勤と非常勤があります。
 
常勤(臨時的任用教員):正規教員の妊娠・出産・病気などにより生じた欠員を補う目的で採用されます。正規教員と同様の業務を担うこともあり、勤務体系や給与は正規教員に準ずることが一般的です。
 
非常勤(時間講師):特定の教科の授業のみを担当する時間給制の教員です。授業やその準備、研修などは行いますが、担任業務や校務は基本的に担当しません。勤務時間や授業コマ数によっては、一定の条件を満たせば社会保険に加入できます。
 
どちらの任用形態でも、採用を希望する場合は、まずは名簿搭載選考へ申し込みを行います。審査を通過すると、採用候補者名簿に搭載され、その後、希望する学校へ応募して、面接を通過すると採用される流れです。
 

年収の違い

前章でみたように、東京都では臨時的任用教員の給与は正規職員に準じているため、ここでは臨時的任用教員と時間講師の年収を比較していきます。
 
東京都によると、令和6年4月1日時点の臨時的任用教員の初任給は表1の通りです。社会人経験は、大学卒業後に教員と関係ない企業で働いていた場合とします。
 
表1

大学卒業 短大卒業 社会人経験5年 社会人経験10年 社会人経験15年
小・中・高等学校 約26万5100円 約24万4700円 約30万6800円 約34万6200円 約38万5000円
特別支援学校 約27万8900円 約25万7500円 約32万2800円 約36万3400円 約40万2300円

※東京都公立学校教員採用「臨時的任用教員について」を基に筆者作成
 
小・中・高等学校における臨時的任用教員(大学卒業者の場合)の初年度の年収は、一般企業のボーナスに当たる期末手当や勤勉手当を含めて約405万円です。
 
一方で、時間講師における時間額は、教員経験年数1年未満の場合1950円です。1週間あたりの勤務時間は最大26時間であるため、ひと月を4週とした場合の収入は約20万2800円となるため、臨時的任用教員との毎月の収入の差は約6万2300円、年間にすると約74万7600円の差になります。
 
さらに時間講師の場合、6ヶ月以上の任用期間がないと期末手当や勤勉手当は支給されないため、年収の差はより大きくなるケースもあるでしょう。
 

まとめ

公立学校教員の雇用形態は正規教員、臨時的任用教員、時間講師に分類され、どの雇用形態においても公務員として勤務にあたります。正規教員は、定年までの雇用と各種手当、ボーナス、退職手当があることが特徴です。臨時的任用教員は、正規教員に準じた給与体系とされています。
 
一方で、時間講師は時間給制であり、初年度の給与で臨時的任用教員と比較すると約74万7600円少ない可能性があります。公立学校の教員の年収は、雇用形態により明確な差があることが現状のようです。
 

出典

東京都公立学校教員採用 臨時的任用教員について
東京都公立学校教員採用 時間講師について
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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