40歳で「年収600万円」の飲食店長になりました。ネットでは「収入が低い」と言われますが、飲食業の“平均年収”はどのくらいですか? 40歳にしては低いでしょうか?
本記事では、40歳前後の平均年収や、飲食業の賃金事情について解説します。
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40歳前後の平均年収はいくら?
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は約460万円です。年齢別に見た場合の平均年収では、35~39歳が466万円、40~44歳が501万円ですので、40歳で年収600万円であれば、平均よりも上の水準だといえるでしょう。
飲食業は「平均年収が低い」のは本当か?
今回のケースの人は年収600万円あるとしても、飲食業全体としての平均年収は、ほかの業界よりも低い傾向にあります。
「令和5年分民間給与実態統計調査」では、14の業種別の平均年収も公開しています。最も平均年収が高い業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」の775万円、2番目に高い業種は「金融業・保険業」の652万円です。
一方、「宿泊業・飲食サービス業」の平均年収は、14業種の中で最も低く264万円です。飲食業全体としては、年収水準がほかの業界よりも低いといえるでしょう。
飲食業の年収が低い理由
飲食業の平均年収は、なぜほかの業種よりも低いのでしょうか? いくつか理由を考えていきます。
離職率が高い
飲食業は離職率が高く、入職しても短期間で辞めていくケースが少なくありません。基本的に、勤続年数が長くなればなるほど、給与は上がっていく傾向にあります。
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、全ての産業の入職率(年間の入職者数を1月1日時点の常用労働者数で割ったもの)は16.4%、離職率(年間の離職者数を1月1日時点の常用労働者数で割ったもの)は15.4%です。
産業別に見ると、「宿泊業、飲食サービス業」は入職率32.6%、離職率26.6%と、人の入れ替わりが激しいことが見受けられます。勤続年数が短い人が多いため、平均年収が低くなっていると考えられるでしょう。
パート・アルバイトの勤務者が多い
一般的にパート・アルバイト等の勤務者は、正社員よりも年収が低い傾向にあります。そして、飲食業界でパート・アルバイト等で働く人の割合は、ほかの業界よりも高いとされており、このことが業界全体の収入の低さにつながっているといえそうです。
このように、飲食業界の構造的な課題をふまえると、40歳で年収600万円というのは、業界内ではかなり高収入と評価されるべき水準だといえるでしょう。
飲食業でも高年収の企業もある
全体としては給与が低めの飲食業ですが、平均年収が高い企業も少なくありません。
例えば、有価証券報告書を見てみると、B-R サーティワン アイスクリームの平均年収は約853万円で、前記の給与所得者の全業種平均である460万円を大きく上回っています。
ほかにも、吉野家ホールディングスは約739万円、丸亀製麺で知られるトリドールホールディングスは約812万円などとなっています。このように、飲食業全体としては平均年収が低い傾向にありますが、中には高年収の企業もあるようです。
まとめ
飲食業は忙しいわりに収入が低いと思われがちですが、実際は店舗規模やポジション、スキルや勤続年数によって収入に差が出るため、一概に「飲食業=収入が低い」とはいえません。
現在飲食業で年収600万円を得ているなら、同世代全体の平均を大きく上回る水準であり、業界内でも高水準といえます。
今後、さらなる収入アップを目指すなら、マネジメントスキルの向上や、より給与が高価格帯の飲食業態への転職などを視野に入れてみるのもよいでしょう。
出典
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
厚生労働省 令和5年雇用動向調査結果の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
