新入社員の給与は「月2万円」上がってるのに、「45歳・就職氷河期世代」の自分は変化なしです。不公平に感じますが、世代的に仕方ないでしょうか?

配信日: 2025.07.30 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
新入社員の給与は「月2万円」上がってるのに、「45歳・就職氷河期世代」の自分は変化なしです。不公平に感じますが、世代的に仕方ないでしょうか?
昨今は人手不足もあり、ニュースではたびたび新入社員の初任給引き上げが報道されています。実際、帝国データバンクが2025年2月に実施した調査でも、2025年4月入社の新入社員の給与を引き上げる企業は7割に上り、平均引き上げ額は9114円でした。
 
このようなニュースを見ると、社会全体の賃金が上昇傾向だと思われますが、実は現在40~50代の就職氷河期世代はそこまで給与が上がっていない状況も見受けられます。
 
本記事では、第一生命経済研究所の分析をもとに、若手社員の賃金上昇と、取り残されがちな就職氷河期世代の現状について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

若手社員の給料は着実に上がっている

第一生命経済研究所のレポートによると、2019年から2024年の5年間で、大卒20代の所定内給与は約10%増えているとのことです。
 
背景には、労働人口の減少や人材獲得競争、そして政府の「賃上げ要請」があります。特に若年層の雇用確保は企業にとって急務であり、「まずは入り口の待遇を改善しよう」という流れが加速していると言えるでしょう。
 

就職氷河期世代の給料は?

一方、就職氷河期世代の給料はあまり上がっていません。そもそも、就職氷河期世代とは、1990年代から2000年代半ばにかけて就職難に直面した世代を指します。
 
第一生命経済研究所の同レポートでは、20代の所定内給与がここ5年間で約10%増えているのに対し、40代前半はほぼ変わらず、40代後半は約2%のプラス、50代前半に至っては約3%のマイナスであるとしています。
 
この間、消費者物価指数は9%以上も上昇していますので、実質的な賃金にするとさらに下がっていることになり、生活の負担感は以前より増していると言えるでしょう。
 

「取り残された世代」という構造的なハンディ

それでは、なぜここまで世代間格差が広がってしまったのでしょうか?
 
就職氷河期世代は、バブル崩壊後の経済停滞期に社会人となったため、新卒採用が極端に少ない中で就職活動を行っていました。正社員としての就職が難しく、派遣社員や契約社員からスタートした人も多く、キャリア形成の初期段階での出遅れがその後の賃金格差に大きな影響を及ぼしています。
 
さらに、当時の雇用環境は「年功序列」から「成果主義」へと移行していた時代でもあり、「年齢を重ねても給料が上がらない」「管理職ポストが空いていない」といった悩みを抱える人も少なくありません。
 

就職氷河期世代の感覚は

若手の給料が上がるのは喜ばしいことであり、社会全体としては健全な流れと言えるでしょう。しかし、就職氷河期世代としては、自分たちが取り残されている感覚を持ったり、「がんばっても報われない」気持ちが拭えないということもあるかもしれません。
 
実際にSNSなどでは「この世代は一生報われない」「売り手市場の世代と就職氷河期世代では不平等」といった声が上がっているようです。
 
とくに、子どもの教育費や住宅ローンなど、出費のピークに差しかかっている人も多い40~50代にとって、「給料は上がらないのに、物価や税金だけはどんどん上がっていく」という現実は重くのしかかることでしょう。
 

まとめ

給料の上昇率の違いを見れば、就職氷河期世代が不公平感を抱くのも当然と言えるでしょう。
 
確かに若手と比べると転職の機会は少ないかもしれませんが、現在の売り手市場は社会全体に広がりつつあります。スキルアップや副業、社内異動など、今ある環境の中で新たな選択をすることも大切です。
 
また、近年は就職氷河期世代へ向けた支援も行われています。不公平に感じることもあるかもしれませんが、できる限りの選択肢から、自身のためになる選択を行っていきましょう。
 

出典

帝国データバンク 初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)
第一生命経済研究所 経済調査部 初任給アップでも世代間格差は残る
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問