求人にモデル給与「年収600万円」と記載があったのに、実際は「450万円」ほどだった!モデル給与は、支払われる給与じゃないの?

配信日: 2025.08.01 更新日: 2025.10.21
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求人にモデル給与「年収600万円」と記載があったのに、実際は「450万円」ほどだった!モデル給与は、支払われる給与じゃないの?
転職サイトや求人票に記載されたモデル賃金に惹かれて応募したのに、実際に提示された年収は低かったという経験を持つ方もいるでしょう。
 
本記事では、モデル賃金の定義やその種類、実際に支払われる給与と異なる理由を解説します。給与に関する誤解をなくし、納得できる転職・就職活動の判断材料としてお役立てください。
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モデル賃金ってなに?

モデル賃金とは、企業がある人物像を想定し、その人が順調に昇進・昇格した場合にどのような給与水準になるかを示した基準です。おもに年齢、学歴、職種、勤続年数などの条件を基に、一定のキャリアパスを前提として計算されます。
 
この考え方は、近年注目されている同一労働・同一賃金の実現にもつながるものです。誰が見ても納得できる給与の透明性を確保するため、モデル賃金は採用活動や社内制度の整備に活用されています。
 
モデル賃金には、大きく分けて2種類があります。
 

理論モデル賃金

理論モデル賃金とは、賃金テーブルや昇格基準に沿って仮想の社員が歩むと想定される給与推移を試算したものです。企業が導入している評価制度や昇進ルールを基盤としており、制度設計の整合性をチェックする材料にもなります。標準的なキャリアを描く理想的な道筋といえるでしょう。
 

実在モデル賃金

実際の社員を参考にして、条件が近い人物の給与データから割り出されるモデルです。例えば「大卒・入社10年目・営業職」といった共通点のある社員の平均年収をベースに構築されており、おもに実態の把握や中途採用者の給与水準を判断する際に使われます。
 
なお、どちらのモデル賃金も入社直後に支払われる金額ではなく、企業内での成長や役職変動を想定した将来の姿です。転職活動で目にする年収例やモデル給与は、このモデル賃金を参考にしている場合が多いので、誤解のないよう注意が必要です。
 
給与の見通しや評価基準を知るうえで、モデル賃金は重要な手がかりとなりますが、あくまで一つの基準値であることを理解しておくことが大切です。
 

年齢別のモデル賃金

東京都の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」によると、モデル賃金の年齢別の上昇傾向は表1の通りでした。なお、この金額は所定時間内賃金で、通勤手当や残業代などは含まれていません。
 
表1

年齢 高校卒 高専・短大卒 専門学校卒 大学卒
18歳 20万5900円
20歳 21万3773円 21万6804円 21万8227円
22歳 22万6203円 22万5226円 22万8955円 22万9507円
25歳 24万2697円 24万2062円 24万6432円 24万6899円
30歳 27万9806円 27万8274円 28万680円 28万6146円
35歳 31万329円 30万9047円 31万2657円 32万5059円
40歳 34万1383円 34万1371円 34万3738円 36万4786円
45歳 36万9282円 37万1550円 37万2659円 39万9955円
50歳 39万5897円 39万9869円 39万9612円 42万8178円
55歳 41万2554円 41万9021円 41万9014円 45万1042円
60歳 41万6060円 42万3560円 42万4077円 46万2979円

出典:東京都 産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」を基に筆者作成
 
このデータからも読み取れるように、学歴や年齢の違いによってモデル賃金は大きく変わります。特に大学卒業している方は、年齢が上がるにつれてほかの学歴の方よりも賃金の上昇幅が大きくなる傾向があります。
 
求人で年収600万円と提示されていたとしても、それは特定の学歴や職種、役職の方を想定した金額であることが多く、すべての応募者に当てはまるわけではありません。ただし、入社後にキャリアアップを重ねることで、こうしたモデル賃金に近づく可能性は十分にあります。求職者にとっては、将来的な給与の見通しを持てる材料になるといえるでしょう。
 

モデル賃金は実際に支払われる給与ではない

求人に記載されているモデル年収は、あくまで特定の条件を満たした社員のキャリアパスを想定した数字であり、必ずしも入社直後に支払われるわけではありません。企業が設定するモデル賃金は、学歴や年齢、職種、勤続年数などを基に算出される標準的な昇給・昇格パターンを表すものであり、実際の給与額は個人の経験や役職によって異なります。
 
求人のモデル賃金が必ずもらえると思わず、モデル賃金の意味を正しく理解し、自分がどの位置に該当するのかを見極めることが、後悔しない転職の第一歩といえるでしょう。
 

出典

東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)報告内容 5.モデル賃金
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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