「自衛官」の生涯年収は「2億円」!?民間企業に勤める場合とどのくらい差がある?
本記事では、自衛官と民間企業勤務でどのくらい生涯年収が違うのかを解説します。自衛官と民間企業の生涯年収の差が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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自衛官の生涯年収が2億円って本当?
自衛官は、給与や賞与に加えて手当も豊富に用意されている職業です。そのため、長く勤務すれば、階級によっては生涯で2億円以上の収入が得られる可能性もあるようです。ここでは、防衛省が運営する自衛官募集サイトに挙げられている実際のモデルケースから、自衛官の生涯年収がどのように構成されているかを具体的に見ていきましょう。
陸上自衛官の場合
防衛省・自衛隊によると、陸上自衛隊に18歳で入隊し定年の56歳まで勤務、かつ最終的には曹長という階級まで昇格した場合、この間に受け取った給与とボーナスの合計は約2億1481万円になります。加えて、退職時には約2092万円の退職金が支給され、これらを合算すると約2億3573万円です。
自衛官は定年の年齢が早いため、収入が絶たれる期間を補う目的で「若年定年退職者給付金」という制度があります。曹長という階級で退職した多くの隊員の場合、この制度によって約1689万円が給付される計算です。
さらに、再就職支援制度を活用して民間企業などで働いた場合、65歳までの間に平均して2446万円の収入を得られるとします。これをすべて加えると、生涯年収は約2億7708万円に達します。
海上自衛官の場合
上記と同じく、18歳で海上自衛隊に入隊、最終的に曹長という階級まで昇格し56歳で退職した場合の生涯年収を計算しましょう。所属が海上自衛隊だと、乗艦勤務によって乗組手当や航海手当といった特別手当が加算されます。このため、給与と賞与の合計は約2億6863万円となり、陸上自衛官より高くなります。
退職金は同様に約2092万円支給され、現役時代の収入とあわせて約2億8955万円です。さらに、若年定年退職者給付金として約1689万円が支払われ、再就職による収入を2446万円と見積もると、最終的な生涯年収は約3億3090万円にのぼります。
このように、自衛官の生涯年収は勤務形態や配属先、手当の種類によって大きく変わります。特に海上勤務などは、手当が充実している分、生涯年収が高くなる傾向があるようです。
自衛官と民間企業では生涯年収にどのくらいの差がある?
自衛官の生涯年収が2億円を超えるという話を聞くと、「民間企業で働くより本当に多いの?」と気になる方もいるでしょう。ここでは、自衛官と一般的な会社員の生涯収入を比較してみましょう。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計 労働統計加工指標集 2024」によると、高校卒業後から60歳の定年まで正社員で働き、退職金を受け取ったのち、平均引退年齢まで働いた場合の生涯賃金は、以下の通りでした。
●男性:2億6610万円
●女性:1億9430万円
同資料によると、2020年時点の平均引退年齢は、男性71.7歳、女性68.3歳のため、65歳までだと上記の金額よりも下がります。
一方、前述した自衛官の生涯年収は、陸上自衛官で約2億7708万円、海上自衛官で約3億3090万円です。陸上自衛官と高校卒業の会社員の生涯賃金を比較すると、男性で1098万円、女性で8278万円の差があることが分かります。また、海上自衛官の場合は男性で6480万円、女性で1億3660万円もの差が生まれるのです。
ただし、これはあくまで平均年収に基づいた数値です。民間企業では大学卒業や大企業勤務、専門職などであれば、もっと高収入となる場合があり、自衛官との差も小さくなるケースがあります。
自衛官と民間企業では生涯年収に1000万円以上の差が生まれることがある
自衛官と民間企業勤務では、キャリアの流れや待遇が異なるため、生涯で得られる収入にも違いが生まれます。今回の試算によると、陸上自衛官で約2億7708万円、海上自衛官では約3億3090万円となっており、民間企業の平均的な生涯年収の約2億3631万円と比べて、それぞれ1000万円〜1億4000万円ほどの差が見られました。
もちろん、民間企業の年収は勤務先や学歴によって幅がありますし、自衛官も配属先や昇進によって大きく変動します。とはいえ、同じように長く働いた場合でも、キャリアパスによってこれだけの差が生まれる可能性があるようです。
出典
防衛省 自衛官募集 自衛官になれば生涯収入が2億円以上になるというのは本当ですか?
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 労働統計加工指標集 2024(313、314、321ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
