社会人2年目になって、毎月給与から「天引きされる税金」が多いように感じます…1年目から「給与が増えているわけではない」のになぜですか?

配信日: 2025.08.09 更新日: 2025.10.21
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社会人2年目になって、毎月給与から「天引きされる税金」が多いように感じます…1年目から「給与が増えているわけではない」のになぜですか?
社会人2年目を迎え、給与明細を見て「手取りが減った?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。給与額は変わっていないはずなのに、口座に振り込まれる金額が少なく感じると、少し不安になります。
 
その主な原因は、2年目から新たに天引きが始まる「住民税」にあります。この記事では、なぜ社会人2年目になると天引きされる税金が増えるのか、その仕組みを分かりやすく解説します。
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なぜ社会人2年目から手取り額が減るの?

給与から天引きされる税金が増える最大の理由は、社会人2年目の6月から「住民税」の支払いが始まるためです。住民税は、都道府県や市区町村が行う教育、福祉、防災といった行政サービスを維持するために使われる税金で、その地域に住む人が所得に応じて負担します。
 
住民税の大きな特徴は、前年1月から12月までの1年間の所得をもとに税額が計算され、翌年の6月から支払いが始まる「後払い」の仕組みであることです。
 
そのため、社会人1年目のときは、前年の所得がほとんどない(または非課税限度額以下である)ため、住民税は課税されません。
 
しかし、社会人として1年間働き所得を得たことで、2年目になるとその所得に対する住民税が計算され、給与から天引き(特別徴収)されることになるのです。これが、給与額は変わらないのに2年目に手取りが減ってしまうカラクリです。
 

月給23万円だと、1年目と2年目で手取りはいくら変わる?

では、実際に手取り額はどのくらい変わるのでしょうか。月給23万円(年収276万円、賞与なし、東京都在住、扶養親族なし)のケースで、社会人1年目と2年目の手取り額を比較してみましょう。
 
給与からは、税金や社会保険料などが差し引かれ、実際の手取り額が決まります。
 
まず社会人1年目の場合です。前年の所得がないため、住民税はかかりません。月給23万円から引かれるのは所得税と社会保険料です。所得税が約4000円、社会保険料が合計で約3万5000円となり、1ヶ月あたりの手取り額は約19万1000円になります。
 
次に社会人2年目です。給与額は変わらないため、所得税と社会保険料の金額は1年目とほぼ同じです。しかし、ここに1年目の所得(年収276万円)に対して計算された住民税が加わります。この場合の住民税は年間で約10万5000円となり、これを12ヶ月で割った約8700円が毎月の給与から天引きされます。
 
その結果、2年目の手取り額は約18万2300円となり、1年目と比較して毎月約8700円、年間では10万円以上も手取りが少なくなる計算です。給与が上がらない限り、この手取り額の差は大きく感じられるでしょう。
 
なお、ここで紹介している手取り額はあくまで目安です。実際の金額は、勤務先や地域、加入している保険組合などによって変わる場合があります。
 

給与から引かれる税金はいつ、どうやって決まる?

給与から天引きされる主な税金には、住民税のほかに「所得税」があります。この2つの税金には、それぞれ異なる課税の仕組みがあるため、違いを理解しておくことが大切です。
 
住民税が前年の所得に対して課税される「後払い」であるのに対し、所得税はその年の所得に対して課税される「先払い」の仕組みです。所得税は毎月の給与から源泉徴収という形でおおよその金額が引かれ、年末に行われる「年末調整」で正確な税額を算出し、過不足があれば精算されます。
 
このように、社会人1年目からは所得税が毎月引かれていますが、住民税については2年目の6月から天引きが始まる点が大きな違いです。この仕組みを知っておくと、給与明細の内容がより理解しやすくなるでしょう。
 
給与明細には、総支給額だけでなく、何がいくら引かれているのかが詳しく記載されていますので、一度じっくりと確認してみることをお勧めします。
 

税金の仕組みを知ることが、賢い家計管理の第一歩

社会人2年目で手取りが減る主な理由は、前年の所得に対して課税される住民税の支払いが始まるからです。今回解説したように、月給23万円のケースでは、住民税の負担は月々約8700円にもなります。この事実を知らずにいると、急に手取りが減って焦ってしまうかもしれません。
 
なぜ手取りが減るのか、その理由と仕組みを正しく理解することで、漠然としたお金の不安を解消できます。そして、今後の収入や支出の見通しを立てやすくなり、より計画的な家計管理が可能になります。給与明細を毎月確認する習慣をつけ、税金や社会保険料について学ぶことは、将来の資産形成を考える上でも非常に重要です。
 
社会人として着実な一歩を踏み出すためにも、お金の知識を深めていくとよいでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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