「中学校教諭」と「高校教諭」で進路を迷っている大学生の娘がいます。年収に大きな違いはあるのでしょうか?
本記事では、高校教諭と中学校教諭の年収や公立と私立の違いなどについてまとめました。
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中学校教諭と高校教諭の年収比較
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、1ヶ月の給与の平均は「小・中学校教員」が45万9000円、「高等学校教員」は43万900円でした。賞与を含めた年収を計算すると、それぞれ726万5400円、678万7900円となっています。
このデータでは、「小・中学校教員」の方が年収で47万7500円上回る結果となりました。
一方、総務省の「令和6年地方公務員給与の実態」によると、1ヶ月の給与は「小・中学校(幼稚園)教育職」が41万1965円、「高等学校(特別支援・専修・各種)学校教育職」が43万3141円です。
期末手当と勤勉手当を含めた年収を計算すると、それぞれ669万3856円、701万2978円となり、「高等学校(特別支援・専修・各種)学校教育職」の方が31万9122円上回っています。
この結果から、私立の場合は中学校教諭の方が、公立の場合は高校教諭の方が年収が高い傾向があることが分かりました。
公立学校教員の給与のしくみ
公立学校の教員の年収は、地方公務員法に基づいて各都道府県や政令指定都市の給与条例で定められています。
基本的な給与体系は、基本給と各種手当で構成されており、中学校教諭と高校教諭に大きな違いはないとみられます。しかし、勤務する学校や担当する業務内容による手当の違いなどで、年収に差が生じる可能性があるでしょう。
基本給は、教員の学歴や採用後の経験年数と「級」「号給」で決まります。級は職務の複雑さや責任の度合いに応じて定められ、号給は経験年数や評価に応じて毎年上昇していくといわれています。
公立学校教員に支給されるおもな手当を表1にまとめました。
表1
| 手当名 | 手当の内訳 |
|---|---|
| 地域手当 | 都市部など、物価の高い地域に勤務する場合に支給される。地域手当の有無や支給率は、都道府県や政令指定都市によって異なる |
| 義務教育等教員特別手当 | 義務教育に携わる教員に支給される手当 |
| 教員特殊業務手当 | 部活動指導手当、夜間勤務手当(定時制高校など)、休日勤務手当など、特定の困難な職務や、危険を伴う職務、あるいは時間外の勤務に対して支給される手当 |
| 定時制通信教育手当 | 定時制高校や通信制高校に勤務する教員に支給される手当 |
| 期末・勤勉手当 (ボーナス) |
年2回(6月と12月)支給される手当で、一般企業のボーナスに相当。基本給と扶養手当などの合計額をベースに支給され、景気や自治体の財政状況によって変動することもある |
※筆者作成
これら以外にも、扶養手当や住居手当、通勤手当などがあります。
手当は、支給される条件や金額が自治体によって異なるため、年収を比較する際には、勤務を希望する都道府県・政令指定都市の給与条例などを確認することが大切です。
私立学校教員の給与のしくみ
私立学校教員の給与は、公立学校とは異なり各学校法人が独自に定めています。そのため、学校によって年収に差が生じることがあるかもしれません。
ただし、一般的には公立学校の給与体系に準ずる学校が多いことから、大きな差にはならないことが多いようです。ただし、経営状況がよくない学校では給与やボーナスの額に影響が出る可能性があるでしょう。
中学校教諭と高校教諭のどちらが年収が上かは、状況により異なるため、一概に言い切れない面がある
小中学校教諭の平均年収は、私立学校では高校教諭よりも高い傾向にあります。一方、公立では高校教諭の方が年収が高い傾向にあることが分かりました。
しかし、職務内容や手当、給与体系などによって金額は変わるため、一概にどちらの方が年収が高いとは言い切れない面があります。年収だけでなく、自身の価値観や人生設計、希望する働き方を見据えた選択が必要といえるでしょう。
出典
厚生労働省 令和6年 賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
総務省 令和6年 地方公務員給与の実態 職種別職員の平均給与額(PDF)(253.254ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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