年収500万円でも「稼いでいる」と言われますが、東京にいるとそうは思えません。都内で“いい暮らし”をするには年収はいくらくらい必要ですか?
では、都内で“いい暮らし”をするためにはどのくらいの年収が必要なのでしょうか。今回の記事では、東京都の平均年収と年間支出額を比較して解説します。
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東京都の平均年収
まずは、東京都内の平均年収はどのくらいなのかを解説します。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、東京都の平均給与は40万3700円となっています。東京都は全国平均の約1.2倍となっており、全国で圧倒的に多い水準となっています。
また、総務省「令和6年度 市町村税課税状況等の調」によれば、東京23区の平均所得で最も高い上位5つは以下の区です(※課税対象所得を所得割の納税義務者数で割って計算、1万円未満切り捨て)。
・港区:1780万円
・千代田区:1175万円
・渋谷区:1165万円
・中央区:833万円
・目黒区:778万円
港区、千代田区、渋谷区は1000万円を超えています。都心6区に該当しており、家賃や物価も特に高い傾向にある地域です。
一方、平均所得が500万円以下の区は以下のとおりです。
・中野区:494万円
・大田区:493万円
・練馬区:476万円
・墨田区:455万円
・荒川区:444万円
・北区:440万円
・江戸川区:424万円
・板橋区:422万円
・葛飾区:399万円
・足立区:395万円
東京23区の中でも、年収500万円程度で住める地域は多くあることが分かります。
都内で“いい暮らし”をするにはいくら必要?
“いい暮らし”の定義は人それぞれで異なりますが、ここでは平均的な支出以上の余裕のある収入を得ているケースで考えていきましょう。
総務省統計局「家計調査 家計収支編 2024年」を基に、東京都区部における二人以上世帯の1ヶ月の平均消費支出額の内訳を表1にまとめました。
表1
| 費目 | 平均月額 |
|---|---|
| 食料 | 10万189円 |
| 住居 | 2万6909円 |
| 光熱・水道 | 2万1002円 |
| 家具・家事用品 | 1万3504円 |
| 被服および履物 | 1万3062円 |
| 保健医療 | 1万9712円 |
| 交通・通信 | 3万9287円 |
| 教育 | 2万1201円 |
| 教養娯楽 | 3万8556円 |
| その他の消費支出 | 5万7545円 |
| 消費支出合計 | 35万967円 |
出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2024年」を基に筆者作成
毎月同じだけの消費支出があるとして、年間に換算すると、421万1604円の生活費がかかる計算です。手取りを年収の75~85%程度とすると、年収が500万円~565万円程度あれば生活はできるでしょう。600万円程度あれば、場合によっては、教育費や老後に向けた貯蓄もできる可能性があります。
ただし、上記はあくまで平均値です。東京23区内でも住むエリアによっては生活費が平均よりもかかるケースがあります。また、表1の住居費には住宅ローンの返済が含まれていないため、月々住宅ローンの返済がある場合は表1よりも支出が多くなり、年収600万円程度でも家計がギリギリになる可能性も考えられます。
平均的な生活費では年収500万円以上は必要と考えられる|都心のエリアでは平均所得が1000万円を超えるケースも
東京都内での生活には、平均的な支出ベースで年間約421万円が必要となる可能性があり、年収500万円以上は必要であると考えられます。
ただし、これはあくまで平均的な数値であり、住むエリアや住宅ローンの有無などによって必要な年収は大きく変わります。また、“いい暮らし”を平均的な支出以上の余裕のある収入を得ている世帯とすると、年収500万円では足りないと感じるケースもあるかもしれません。
特に都心の人気エリアでは、物価や家賃も高くなる傾向にあるため、より高い収入が求められるでしょう。自身の生活スタイルや将来の支出も見据えて、無理のない収支計画を立てることが大切です。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (11)都道府県別にみた賃金
総務省 令和6年度 市町村税課税状況等の調 市町村別内訳 第11表 課税標準額段階別令和6年度分所得割額等に関する調(合計)(所得割納税義務者数・課税対象所得・課税標準額・所得割額)
e-Stat政府統計の総合窓口 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2024年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号1-1 都市階級・地方・都道府県庁所在市別
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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