「東大生の親は、高年収」と聞いたことがあるのですが、「年収1250万円以上」が最多って本当ですか?
東京大学は国立大学で授業料も私立よりは抑えられていますが、それでも受験や進学にかかる費用、学生生活の環境づくりには経済力も関係してきます。
今回は、東大生の親の世帯年収や、それが学生生活にどう影響しているのかを分かりやすく解説します。
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目次
東大生の親の年収は?「1250万円以上」が最多層
東京大学学生委員会が作成した「2023年度(第72回)学生生活実態調査結果報告書」によると、学部学生の親の世帯年収(税込み)で「分からない」と答えた学生が最も多く、26.4%を占めました。
これを除くと、最も多かったのは「1250万円以上」で20.4%。次いで「750万円以上950万円未満」が12.3%、「1050万円以上1250万円未満」が12.5%となっています。
世帯年収が「950万円以上」の家庭を合計すると、42.2%と半数近くを占めており、「東大生の親は高年収」というイメージを裏付けるデータといえそうです。
一方で、世帯年収が「450万円未満」の学生も9.4%おり、家庭の経済状況には幅があることがうかがえます。
男女別に見ると、「1250万円以上」の世帯収入と回答した割合は、男子が18.2%、女子が25.7%でした。女子学生の方が高収入世帯の出身である割合がやや高くなっています。
アルバイトの目的と「暮らし向き」の実態
親の世帯年収は、東大生自身の生活スタイルにも少なからず影響を与えています。特に、アルバイトをする理由には、家庭の経済状況による違いが表れているようです。
例えば、世帯年収が「450万円未満」の学生では、アルバイトの目的として「生活費を稼ぐため」と答えた割合が53.1%と、半数を超えています。一方、年収が「1250万円以上」の家庭では、同じ目的で働く学生は22.3%にとどまりました。
逆に「社会経験のため」にアルバイトをしていると回答した学生の割合は、高所得層ほど多い傾向にあります。つまり、同じアルバイトでも、「生活のため」か「経験のため」かという目的に、大きな差があることが分かります。
同様に「暮らし向き」の自己評価にも差が出ています。
世帯年収が「450万円未満」の学生では、「苦しい方(『大変苦しい方』『やや苦しい方』の合計)」と答えた割合が24.8%。対して、「1250万円以上」の学生では、「楽な方(『かなり楽な方』『やや楽な方』の合計)」が82.3%を占めており、家庭の経済状況が学生の生活実感に大きく関係していることが読み取れるでしょう。
年収だけじゃない!親の職業や学歴から見える東大生の家庭環境
東大生の家庭環境には、年収以外にもさまざまな特徴があります。親の職業や学歴を見ることで、どのような環境で育ったのかが少し見えてきます。
まず父親の職業については、「管理的職業」が36.0%、「専門・技術・教育的職業」が31.3%となっており、この2つで約7割を占めています。
母親の職業で最も多いのは「事務・販売・サービス・保安等」で38.7%ですが、「専門・技術・教育的職業」も24.0%と高い割合です。また、母親が「無職」である割合は26.8%で、近年は減少傾向にあります。
また、父親の最終学歴は「大学」が61.1%、「大学院」が24.9%で、合計すると86%が大卒以上です。母親も「大学」が55.3%、「大学院」が7.8%で、合計63.1%が大卒以上という結果でした。
多様な学生が集う東京大学、経済的な支援制度も
学生の家庭の経済状況には幅があり、東京大学にはさまざまな背景を持つ学生が在籍しています。大学側は、経済的な事情に応じた支援制度も用意しています。
同調査によると、定期的に奨学金を「受けている」と回答した学生は全体の16.2%でした。そのうち、「奨学金で生活が成り立っている」と答えた学生は41.0%にのぼります。特に世帯年収が「450万円未満」の層では、その割合が49.4%とさらに高くなっており、経済的に厳しい学生にとって奨学金制度が生活の支えとなっている様子がうかがえます。
また、授業料の負担方法として「全額授業料免除」と回答した学生も5.9%存在しており、家庭の収入状況に応じた経済的支援が広く活用されていることが分かります。
「高年収家庭」の出身が多いのは事実だが経済的背景は多様
調査結果からは、世帯年収が高い家庭の学生が一定数いる一方で、すべての学生がそうとは限りません。経済的な事情は人それぞれであり、東大には幅広い経済的背景を持つ学生が在籍しており、それぞれの環境の中で学びを深めている様子がうかがえます。
出典
東京大学学生委員会 学生生活調査WG 2023年度(第72回)学生生活実態調査結果報告書
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
