課長から部長へ昇進しましたが、年収750万円から800万円に増えただけ…これって一般的ですか?

配信日: 2025.08.18 更新日: 2025.10.21
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課長から部長へ昇進しましたが、年収750万円から800万円に増えただけ…これって一般的ですか?
長年の努力が実り、ついに課長から部長へ昇進。しかし、年収はわずか50万円のアップにとどまり、肩透かしを食ったことがある……そんな経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、部長昇進時の年収アップ幅の相場、昇進による負担増の現実、そしてキャリア戦略の考え方について解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

部長昇進時の年収アップ幅はどのくらいが一般的?

昇進時の給与増加幅について一般的な額を提示することは、そう簡単ではありません。なぜなら、企業規模や業種はもちろん、外資系であるかどうか、自社の業績はどうかなど、個別の事情によって大きく異なるからです。
 
そのため、参考程度になるのですが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で確認してみましょう。
 
「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、課長級の平均賃金は月額51万2000円(男女計)ですが、部長級の平均賃金は月額62万7200円となっています。その差は11万5200円であり、年換算すると138万2400円です。
 
統計上の額を一般的と考えるのであれば、課長から部長となることで、140万円近い年収アップが期待できることになります。そのため、今回のケースのように年収750万円から800万円に増えただけ……というのは、役職のアップにしては少ない額といえるでしょう。
 
ただし、昇進初年度は、昇進月や賞与計算期間の影響もあるため、賞与の存在を加味すると、さらにこの差が大きくなる可能性もあります。
 

年収より重くのしかかる「責任」と「時間的拘束」

部長への昇進を考えるにあたって、昇給額以上に考慮すべきなのが、仕事の質と責任の重さでしょう。例えば部長となることで、部署全体を束ねることから、次のような点で責任が重くなったり、時間的拘束が長くなったりすることが想定されます。

●部署やプロジェクトを統括する機会が増える
●予算・人事評価・採用などの経営の意思決定に携わる機会が増える
●上位の経営層との折衝や戦略立案に携わる機会が増える

当然、業務時間は長くなり、心理的プレッシャーも増大する可能性があります。加えて、部長ともなると、残業代が支給されない管理監督者扱いになることも考えられます。
 
それによって、年収50万円アップでの昇進では「割に合わない」と感じる人もいらっしゃるかもしれません。
 

悩んだ時の対応は?

もし、課長から部長への昇進が50万円の昇給という額では納得できないという場合、会社側に交渉してみるのもひとつの手です。受け入れたのは自分ではありますが、そのまま働き続けるのに納得がいかないというのであれば、信頼できる上司に相談してみるのもよいかもしれません。
 
また、どうしても納得できず、会社側と折り合いもつけられないというのであれば、転職することも方法のひとつです。とはいえ、安易に転職してしまうと、今よりも条件が悪化する可能性があるうえ、相談をしても、かえって状態が悪化することもあり得ない話ではありません。
 
その点を考えると、よほど納得できない状態ではない限り、一度今の条件については飲み込み、仕事で成果を出し、次回に昇給する機会に給与交渉の材料にするというのが理想かもしれません。
 

まとめ

課長から部長への昇進で、年収が750万円から800万円程度のアップにとどまるのは、統計から考えると少ない額といえそうです。
 
昇進による責任増加や勤務環境の変化を踏まえると、短期的には「割が合わない」と感じることもあるでしょう。しかし、部長職は、企業内での発言力や経営層への接触機会が増えるポジションであり、将来の役員登用や高待遇転職へのステップにもなり得ます。
 
どうしても納得がいかないという状況でもない限り、目先の昇給額だけでなく、長期的なキャリア形成と市場価値の向上という視点で、今回の昇進をとらえてみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 結果の概要 1 一般労働者の賃金(8) 役職別にみた賃金(15ページ)
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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