子どもは「高年収家庭」出身だと“貧乏”にならない? 日本で半数以上が「平均年収以下」の今、お金持ちが“連鎖”する現実とは

配信日: 2025.08.20 更新日: 2025.10.21
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子どもは「高年収家庭」出身だと“貧乏”にならない? 日本で半数以上が「平均年収以下」の今、お金持ちが“連鎖”する現実とは
「人生は努力次第」と信じ、日々頑張っている人も多いでしょう。たしかに、学歴や資格、スキルなどを積み重ねることで、収入を上げていくことは可能です。しかし、どれほど努力しても、スタート地点によって人生の難易度が大きく変わる現実がある点も見過ごせません。
 
例えば、親が高年収の家庭と、低年収の家庭とでは、子どもの教育環境や将来の選択肢に大きな差が出ることがあります。こうした違いは、最終的には子どもの収入に影響を及ぼすこともあるでしょう。
 
本記事では、親子間の収入格差に関するデータを紹介しながら、「お金持ちが連鎖する理由」について見ていきます。
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親が高収入の家庭であれば、子が貧乏になることはない?

経済学の分野では、「世代間所得の弾力性(Intergenerational Earnings Elasticity=IGE)」という指標がありますが、これは親と子どもの所得の関係性を示すものです。
 
この数値が高いほど、親の収入が子の収入に与える影響が強いことを意味しますが、日本のこの数値は米国や英国における指定値より小さいものの、北欧各国よりも大きいと言われています。
 
つまり、程度の差はあれど、日本ではある程度はお金持ちが親子間で連鎖する環境にあると言えそうです。
 

なぜ「お金持ちの子はお金持ち」になりやすいのか?

親の収入が高いと、子どもが貧困に陥りにくい主な理由を見ていきましょう。
 

教育環境に投資できる

高年収の家庭は、子どもの塾代、習いごと、留学などに十分な資金を投じることができます。結果として、進学先や学歴、就職先にも良い影響を与える可能性が高くなります。
 

選択肢の多さが人生を左右する

例えば、大学進学後に「留学したい」といった場合や、「一度就職しても、やりたいことが見つかった」といった場面で、経済的に余裕がある家庭なら柔軟な選択が可能です。
 
逆に、経済的に苦しい家庭では、選びたくても選べないということもあるでしょう。
 

親自身の人脈や“文化資本”

例えば、経営者や医師、士業など、高収入の家庭では、そうした人脈や職業意識が子どもにも影響します。日常会話の内容や価値観といった「文化資本」もまた、将来にわたって大きな差を生む要素と言えるでしょう。
 

平均年収は460万円。ただし「平均以上」は少数派?

そもそも日本の年収分布は、どのようになっているのでしょうか。
 
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は約460万円です。しかし、実際に「460万円以上稼いでいる人」は少数派です。
 
具体的には、年収が400万円以下の人は全体の50.7%です。また、400万円超~500万円以下は15.4%、平均年収を超える500万円超の人は33.8%しかいません。
 
つまり、過半数の人は日本の平均年収の約460万円未満の収入です。
 
このような現象が起きるのは、年収1億円以上などの高所得者が平均値を押し上げているためであり、平均的な基準である「中央値」は400万円に満たないと言えます。
 

まとめ

親が高収入でも子が必ず成功するわけではありませんし、低年収の家庭の出身でも高収入の人もいます。とは言え、現実として、努力の成果が環境に左右される場面も少なくありません。
 
高収入の家庭では、教育への投資や進路の選択肢が広がりやすく、失敗してもやり直しやすい余裕があります。一方で、低年収の家庭では、そもそも努力する機会や選択肢が限られていることもあるでしょう。
 
このように、見えづらい環境の差が、結果として収入の連鎖を生む大きな要因となっているのは、1つの社会的な課題と言えるかもしれません。
 

出典

国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
慶応義塾大学 経済学部付属 経済研究所 所得の世代間弾力性:JHPS第二世代付帯調査による分析
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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