「保育士になりたい」という娘と、「介護士のほうが将来性がある」という夫。やっぱり“需要が多いほうが安泰”でしょうか? 年収・勤務形態も比較

配信日: 2025.08.30 更新日: 2025.10.21
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「保育士になりたい」という娘と、「介護士のほうが将来性がある」という夫。やっぱり“需要が多いほうが安泰”でしょうか? 年収・勤務形態も比較
子どもが「将来は保育士になりたい」と語った際、親としては応援したい気持ちもあるものの、「これからは介護のニーズがより高まっていく」などと、現実的な視点から口を挟みたくなることもあるかもしれません。
 
保育士も介護士も、社会のなかでなくてはならない存在です。しかし日本は長年、少子高齢化が進行しており、「子どもに関わる仕事」よりも「高齢者に関わる仕事」のほうが将来的に安定していると考える人もいるでしょう。
 
本記事では、保育士と介護士、それぞれの仕事内容や待遇、そして日本社会の人口構成の変化から見た将来性について解説します。
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平均年収は保育士のほうがやや高め

まずは気になる年収面ですが、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、平均年収は保育士が約407万円、介護士が約376万円です。
 
このように、保育士のほうが介護士よりも給与はやや上回っています。ただし、これはあくまでも平均であり、勤続年数や働く施設、地域によって大きく異なる点には留意が必要です。
 
また、介護職は夜勤がある場合も多く、夜勤手当などが支給される分、働き方によっては介護士のほうが手取り額で上回ることもあります。
 

勤務形態はどう違う?

勤務形態を見てみると、保育士は基本的に日中勤務が中心です。保育園や認定こども園の開園時間に合わせて早番・遅番がある場合も多いですが、夜勤や宿直は基本的にありません。一方で、介護士はシフト制で、夜勤や土日祝の勤務が発生することが多いのが特徴です。
 
家庭との両立やワークライフバランスを重視するなら、保育士のほうが生活リズムを整えやすいといえるかもしれません。ただし、どちらの職種も体力的・精神的な負担は小さくない点は共通しています。
 

人口構成から見る将来性

次に、日本における「6歳未満」と「75歳以上」の人口割合の推移を見てみましょう。6歳未満は保育園の対象年齢、75歳以上は介護が必要になりやすい年齢とされており、どちらの職種にどれだけの需要があるかを測る1つの指標になります。
 
総務省の人口推計によると、2000年以降、6歳未満と75歳以上の人数および総人口に占める割合は図表1のとおりです(各年10月1日時点。千人単位)。
 
図表1

図表1

総務省 人口推計より作成
 
このように、6歳未満の子どもの数はここ20年あまりで3割以上減少し、総人口に占める割合もかなり減ってきています。
 
一方、75歳以上の高齢者は人数も総人口に占める割合も倍以上に増えています。このような人口動態を踏まえると、「高齢者向けの仕事のほうが安定している」と考えるのも、一定の合理性があるでしょう。
 

やりがい・大変さはどちらにもある

ここまでを見てみると、日中働けて年収もやや高めの保育士が良いという人もいれば、超高齢社会が進むなかで、今後ますますニーズが高まると予想される介護士を目指す人もいるでしょう。
 
ただし、職業を選ぶうえで大切なのは将来性だけではありません。
 
保育士の仕事は、子どもの成長を間近で見守ることができる、非常にやりがいのある仕事です。言葉を覚えた瞬間や、初めて友達と手をつないで遊んだ姿など、日々の小さな感動にあふれています。
 
一方、介護士の仕事も、人生の終盤を支えるという重大な使命を担っています。「ありがとう」と感謝されることが多く、利用者との信頼関係の中で得られる喜びはひとしおです。
 
どちらも尊く、社会に必要不可欠な職種であることに変わりはありません。
 

まとめ

子どもが「保育士になりたい」と語ったとき、親としては将来性や収入面が気になるのも当然です。しかし、職業人生は長く、心からやりたいと思える仕事でなければ、続けることが難しくなることもあります。
 
たしかに、高齢者向けの仕事には需要の増加が見込まれていますが、子どもの数が減少傾向にあるとはいえ、保育のニーズがなくなることはありません。
 
親としての経験を踏まえつつ、ときには本人の適性や価値観を尊重しつつ、情報を共有しながら一緒に子どもの将来を考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
総務省 人口推計
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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