平均年収「460万円」上場企業「671万円」…会社員で“年収400万円”の自分は少なすぎ!? 平均が跳ね上がる「数字のマジック」とは

配信日: 2025.08.30 更新日: 2025.10.21
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平均年収「460万円」上場企業「671万円」…会社員で“年収400万円”の自分は少なすぎ!? 平均が跳ね上がる「数字のマジック」とは
「自分の年収って、ほかの人と比べてどうなんだろう?」ふとした瞬間にこんな疑問を抱いたことがある人も多いのではないでしょうか。例えば、「年収400万円」という水準が、日本において普通なのか少ないのかは、自分ひとりで判断するのが難しい場合もあるでしょう。
 
ネットやメディアを見てみると、「平均年収460万円」「上場企業は平均671万円」など、さまざまな数字が飛び交っていますが、それらを鵜呑みにして「自分は平均以下だ……」と落ち込む必要はありません。
 
なぜなら、そこには数字のマジックが潜んでいるためです。本記事では、年収に関する統計の見方を整理しながら、年収400万円の水準について解説します。
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会社員の平均年収は「約460万円」

まず、「平均年収460万円」という数字は、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」による、給与所得者の平均年収です。
 
この460万円は平均という点では正しいのですが、平均値には高年収者の影響が大きく反映されます。例えば、1人が年収2000万円で、ほかの4人が年収300万円だった場合、5人の平均年収は640万円になってしまいます。
 
そのため、平均年収は実際の感覚よりも高めに見えてしまう傾向があります。
 

上場企業の平均は671万円だが、それはほんの一部

「上場企業の平均年収は671万円」という帝国データバンクのデータもありますが、これにも注意が必要です。
 
上場企業の数は、日本の企業全体から見ればごく一部にすぎません。しかも、上場している企業は比較的大規模で、業績の安定している場合も多く、給与水準が高くなる傾向があります。
 
つまり、これはごく一部の恵まれた層の数字であり、日本全体の“普通”を表しているとはいえません。
 

平均よりも「中央値」がリアルを映す

年収の実態を知るうえで重要なのが「中央値」です。平均が「全体の年収を合計して人数で割った数」であるのに対し、中央値は「全ての人を年収順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる人の年収」です。
 
国税庁の調査では明確な中央値は出されていませんが、年収が400万円以下の人が50.7%を占めており、中央値はおおむね400万円近くに位置すると考えられます。このことから、「年収400万円」はまさに中央値付近であり、むしろ中央よりもやや高めの水準といえます。
 

年収400万円は普通だが、不安になる理由とは?

年収400万円という水準は、日本の労働者の中で決して少ないほうではありません。それでも、「もっと上を目指さなきゃ」「将来が不安」と感じてしまうのは、SNSやニュースで目にする高年収の人との比較によるものかもしれません。
 
また、家族構成や地域によって、年収400万円における生活のゆとり度合いは変わってきます。同じ年収を稼いでいても、地方では十分生活できるものの、都市部では家賃や教育費で余裕がなくなることもあるでしょう。
 

年収を上げる施策

今の年収に不満がある、あるいは将来に備えて収入を増やしたいと考えているなら、漠然と今の状況を続けるのではなく、戦略的な一歩を踏み出すことが大切です。
 
例えば、給与水準の高い業界への転職を視野に入れるのも1つの方法です。国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、平均年収が高い業界としては「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融業・保険業」「情報通信業」などが挙げられます。
 
資格やスキルを得ることで、社内での評価が上がって収入が増えたり、より有利な条件で転職できたりすることもあります。また、副業としてWebライティングや動画編集、プログラミングなどに挑戦し、収入源を複数持つ人も少なくありません。
 
いきなり年収を大きく上げることは難しくても、小さな努力の積み重ねが、やがて安定した収入の増加や将来の選択肢の広がりにつながっていくでしょう。
 

まとめ

「年収400万円」と聞くと、もっと上を目指さないといけないと焦る人もいるかもしれません。しかし、統計的に見ると「年収400万円」は決して少ない水準ではなく、日本の給与所得者の標準ラインです。
 
大切なのは、他人と比べて落ち込むことではなく、自分の価値を少しずつ高めていくことです。小さな努力の積み重ねが、やがて収入の安定や将来の選択肢の拡大につながっていくでしょう。
 

出典

国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
帝国データバンク 上場企業の「平均年間給与」動向調査(2024年度決算)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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