博士号を取った知人が「年収400万円しかない」と言っていて驚きました…。実際の平均年収はいくらなのでしょうか?
本記事では、統計データをもとに博士号取得者の収入実態を解説し、学部卒や修士卒との比較、収入が低くなりやすいケースについても整理します。
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博士号取得者の平均年収はどのくらい?
リクルートワークス研究所「博士のその後は闇か?」という記事によると、2019年時点での博士課程修了者の平均年収は738万1000円とされています。
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、全体の平均年収は460万円とされており、博士号取得者の給与は全体平均より大きく上回っています。
ただし、この数字は「平均」であり、すべての博士号取得者が同じように高収入というわけではありません。企業の研究職や医療系の博士は1000万円以上になることもありますが、アカデミアに残る場合やポストが限られる分野では400万円程度にとどまるケースもあります。
学歴別に比較:学部卒・修士卒・博士卒の違い
リクルートワークス研究所のデータをもとに学歴別の平均年収を見てみましょう。
・大学:419万1000円
・大学院修士課程:570万円
・大学院博士課程:738万1000円
2019年のデータのため、2025年現在の年収とは多少差があると思いますが、学歴が上がるにつれて平均年収も上昇する傾向があります。博士は大学卒よりも320万円程度高く、修士卒よりも170万円程度高い水準です。
ただし、注意したいのは「生涯年収」で見ると必ずしも博士が有利とは限らないことです。博士課程に進学すると就業開始が遅れるため、社会に出てからの勤続年数が短くなり、結果的に生涯賃金で修士卒や学部卒に追いつけない場合もあります。
博士号を持っていても年収が低いケースとは
「博士なのに年収400万円しかない」というケースは珍しくありません。その背景には以下の要因があります。
1.ポスドク(任期付き研究員)
博士号取得後に多くの人が進むのがポスドクですが、雇用が不安定で年収は300万~400万円台にとどまることが多いです。
2.大学の非常勤講師
非常勤は1コマあたりの給与は1万~3万円が相場で、掛け持ちしても十分な年収になりにくいのが実情です。
3.民間企業でも専門外に就職した場合
博士号が直接収入につながらない業界に進むと、大学卒や修士卒と同水準にとどまります。
このように、博士号はあくまで「スタート地点」であり、収入はキャリアの選び方に大きく左右されます。
まとめ
博士号取得者の平均年収は約738万円と統計的には高めですが、実際には400万円台にとどまるケースも少なくありません。重要なのは博士号の有無そのものではなく、専門性をどの分野でどう活かすかです。
企業研究職や医療系のように安定した収入につながる道もあれば、アカデミアで任期付きの立場にとどまると収入は伸びにくい傾向があります。博士号は収入だけではなく、研究に打ち込む価値や社会への貢献といった面も大きいものです。
博士課程進学を考えている方は、経済面だけでなくキャリアの将来像を描いたうえで判断することが、後悔しない選択につながるでしょう。
出典
株式会社インディードリクルートパートナーズ リクルートワークス研究所 博士のその後は闇か?
国税庁長官官房企画課 令和5年分 民間給与実態統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
