わが家は「年収1000万円」だけど“富裕層”じゃない!? 日本で富裕層といえる“リアルな基準”とは? 日本における年収1000万円の「位置づけ」も確認
本記事では、日本における年収1000万円の位置づけと、富裕層と呼ばれるための基準、そして富裕層を目指すための具体的なステップを紹介します。
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日本で年収1000万円とは上位何%?
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の年間平均給与は約460万円です。これに対し、年収1000万円以上の給与所得者は全体のうち5.5%にとどまります。
つまり、年収1000万円は「上位5%前後」の高所得層に該当する水準といえます。とはいえ、実際に1000万円の年収があっても、家族構成や地域差、教育費や住宅費の水準によって生活の余裕度は大きく異なります。
特に都市部では支出も多くなりがちなため、「裕福」と実感しづらいのが現実です。
富裕層の定義は?
年収1000万円は、収入面で見ると上位に位置しますが、富裕層の定義は「年収」だけでは決まりません。富裕層の定義について、具体的な区分を見ていきましょう。
富裕層・超富裕層・年収1000万円の割合
野村総合研究所が公表しているデータによると、日本の世帯は純金融資産保有額によって5つの階層に分けられます。
図表1
| 区分 | 純金融資産保有額 | 世帯数(推計) |
|---|---|---|
| 超富裕層 | 5億円以上 | 約11万8000世帯 |
| 富裕層 | 1億円~5億円未満 | 約153万5000世帯 |
| 準富裕層 | 5000万円~1億円未満 | 約403万9000世帯 |
| アッパーマス層 | 3000万円~5000万円未満 | 約576万5000世帯 |
| マス層 | 3000万円未満 | 約4424万7000世帯 |
株式会社野村総合研究所 2023年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模 より筆者作成
このデータからは、年収1000万円があったとしても、保有資産が1億円に届かなければ「富裕層」には該当しないと読み取れます。つまり、高収入であっても支出が大きければ富裕層にはなれないのです。
富裕層を目指す3ステップ
収入だけで富裕層にはなれないからこそ、資産を築くための行動が重要になります。次の3つのステップを意識しましょう。
1. 支出の最適化で「残す力」を高める
収入が増えても支出が同じだけ増えれば、資産は残りません。住居費や保険、通信費などを見直し、固定費を最適化することで資産形成の余地が広がります。まずは支出の全体像を把握し、使途不明金や過剰な契約がないかを点検しましょう。
2. 長期目線での資産運用を実践する
資産を増やすには、ただ貯金するだけでは不十分です。NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用し、時間を味方にした長期分散投資が有効です。早いうちから、少額でも投資をはじめるだけでも、将来の資産差に大きく影響します。
3. 人的資本に投資して収入源を増やす
資格取得やスキルアップ、副業・起業などにより収入の柱を増やすことも、富裕層に近づくための大切な手段です。特に、自分の強みや興味を生かした分野に取り組むと、継続的な学びが将来の経済的リターンにつながります。
収入より「純資産」を増やそう
「年収1000万円だから富裕層」とは言えない時代において、本当に目指すべきは「収入」ではなく「純資産」の拡大です。金融資産1億円以上を保有する世帯は、全体のわずか3%未満です。
しかし、日々の支出を見直し、長期的な視点で資産運用を行えば、将来的にこの層に近づくことは十分可能です。富裕層に共通するのは「収入の多さ」よりも「お金の使い方」と「お金の残し方」に優れている点です。
一時的な収入よりも、計画的な資産形成と長期的な視野が、経済的な自由に近づく鍵といえるでしょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
株式会社野村総合研究所 2023年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
