40歳で「手取り25万円」から増えない…同年代の“平均年収”と比べて低いですか?「給料が伸びない理由」とは?
居酒屋でこぼした同僚のひと言に、「自分も同じだ」と心の中でうなずいたことがある人も多いかもしれません。日々頑張っているのに、給与明細を見るたび、ため息が出る……
本記事では、そんな40代会社員の「給料が伸びない問題」を平均年収データをもとにひもとき、どうすれば今後を打開できるのかを考えてみます。
FP2級、秘書検定2級、剣道3段、ビジネス会計検定3級、ビジネス実務法務検定3級
目次
年収は平均より上? 下? 年代別の給与水準をチェック
まずは、現在の自分の立ち位置を知るために、最新の平均年収(ボーナスを除く)を見てみましょう。図表1は、男性正社員の年代別月収・手取りの目安です(企業規模・職種によって差があります)。
図表1
| 年齢階級 | 平均年収 | 月収(額面) | 手取り(概算) ※額面の8割と想定 |
|---|---|---|---|
| 25~29歳 | 約324万円 | 約27万円 | 約22万円 |
| 30~34歳 | 約380万円 | 約32万円 | 約25万円 |
| 35~39歳 | 約420万円 | 約35万円 | 約28万円 |
| 40~44歳 | 約468万円 | 約39万円 | 約31万円 |
| 45~49歳 | 約504万円 | 約42万円 | 約34万円 |
| 50~54歳 | 約516万円 | 約43万円 | 約34万円 |
| 55~59歳 | 約528万円 | 約44万円 | 約35万円 |
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況 より筆者作成
手取りに換算すると、40代前半でも月30万円に届かない人が多く、「25万円」は決して少なすぎる金額ではありません。さらに子どもの教育費や住宅ローン、親の介護費用など、出費が増えていく年代でもあり、将来への不安がぬぐえないのも無理はないでしょう。
給料が「増えない」3つの理由
(1)年功序列から成果主義へシフト
かつての日本企業は「年齢を重ねれば昇給する」年功序列型が主流でしたが、今では“実力主義”が広がりつつあります。中堅になっても、目に見える成果や数字が出なければ昇給は難しい……そんな職場も増えています。
特に評価制度があいまいな企業では、「何をどう頑張れば給料が上がるのか」が見えず、モチベーションの低下にもつながりやすいのです。
(2)社会保険料・税負担の増加
「給与は上がっているはずなのに、手取りは減っている」と感じたことはありませんか? それは、社会保険料や所得税・住民税の負担が増えているからです。
実際、額面が1万円上がっても、手取りに反映されるのは数千円というケースも多いです。特に、扶養人数が変わったり、住民税額が更新されたりするタイミングなどで差が出やすくなります。
(3)物価上昇による「実質賃金」の目減り
額面自体が増えないだけでなく、近年、電気代・ガソリン代・食品価格など生活コストが大きく上がったことも、給料の伸びを感じにくくなっている一因でしょう。実質賃金(=物価変動を加味した賃金)は、厚労省の調査でも前年比マイナスが続いており、「生活の豊かさ」を実感しにくくなっているのが現状です。
増やすにはどうすれば?「手取りを増やす×支出を抑える」生活を楽にする2つの視点
給料を増やしたい、家計にゆとりを持たせたいと思ったときに取れる手段としては、「手取りを増やす」か「支出を抑える」かの2つしかありません。実は、この両方を同時に少しずつ取り入れることが、最も現実的で効果的な方法です。
(1)手取りを増やすための動き
・社内評価を意識して昇給につなげる
若手育成や成果を数字で示す工夫、部門横断のプロジェクトへの参画など、会社の中で“昇給につながる動き”を意識すると、将来的に確実に差がつきます。
・副収入(副業)で小さな収入の柱をつくる
勤務先で副業が認められていれば、電車の待ち時間などにできるライティング、週末の空き時間での資料作成や動画編集などの副業も有効です。月1~2万円でも副収入があると、「飲み会代は副業でまかなう」と考えることができて、気持ちに余裕が出ます。
・転職市場を調べておく
実際に転職するかどうかは別として、自分の市場価値を知っておくことは社内交渉にも有効です。「同じスキルなら他社ではいくらか」という情報は強力なカードになります。
(2)支出を抑える工夫
・固定費を見直す
携帯電話の一般的なキャリアの契約から格安SIMへの切り替えで月5000円、保険の見直しで年5万円、不要なサブスクをやめれば月数千円、と昇給に匹敵する効果が期待できます。
・食費、交際費を調整する
外食ランチを、週2回だけ自炊した弁当に置きかえれば月約8000円の節約、飲み会は1次会で帰る習慣をつけるだけで年間数万円の違いになります。さらにふるさと納税でお米やビールを確保すれば、食費も抑えられます。
・住宅ローンの繰り上げ返済や税制優遇を活用する
住宅ローンの繰り上げ返済で返済総額を減らしたり、iDeCoやNISAを活用して「節税+資産形成」を同時に進めたりすると、今と将来の両方で家計の不安を軽くできます。
給与明細だけでなく、“手取り”と“支出”に目を向けよう
「年収○万円」と言っても、実際に使えるお金=“手取り”とは大きく違います。
昇給や副収入で手元に入るお金を増やしつつ、固定費や生活費の見直しで毎月出ていくお金を抑える。どちらか一方に偏るのではなく、両輪で取り組むことが「手取り感」を実感する一番の近道です。年収を増やすための方法は1つではありません。「まず何を試してみるか」を考えてみませんか?
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報
執筆者 : 今みなみ
FP2級、秘書検定2級、剣道3段、ビジネス会計検定3級、ビジネス実務法務検定3級
