公務員で「貯蓄4000万円」という50代の義姉夫婦。やはり会社員より高収入で“余裕がある”のでしょうか? 統計をもとに比較

配信日: 2025.09.20 更新日: 2025.10.21
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公務員で「貯蓄4000万円」という50代の義姉夫婦。やはり会社員より高収入で“余裕がある”のでしょうか? 統計をもとに比較
「50代の義姉夫婦は共働きの公務員で、貯蓄は4000万円」。そんな話を聞くと「やっぱり公務員は会社員より収入に余裕があるのでは?」と思う人は多いのではないでしょうか。しかし、貯蓄の差を決めるのは収入の絶対額だけではありません。
 
本記事では、統計をもとに公務員と会社員の収入を比較し、実際に収入にどれくらいの差があるのかを確認し、今日から実践できる貯蓄のコツも解説します。
大林郁哉

FP2級、AFP、簿記3級

4000万円は「上位ゾーン」。全体の分布で位置づけを見る

金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、世帯主が50代の貯蓄額の平均値は2人以上世帯で1168万円です。
 
この結果を見ると、世帯の貯蓄金額が4000万円というのは、全体でもかなり上位のゾーンです。共働きか否か・持ち家・子育ての状況などでブレはありますが、「公務員だから当然」というより「職種だけでなく、さまざまな工夫をしながら長く着実に貯めた結果」と捉えるのが実態に近いでしょう。
 

公務員は本当に高収入? 数字で見ると「思ったより大差はない」

そもそも、公務員という職種は本当に高収入なのでしょうか。
 
国家公務員の平均給与は毎年人事院が公表しており、令和6年の平均給与月額(俸給及び諸手当の合計)は 41万4801円で、年間換算すると約500万円です。これにボーナス(期末手当+勤勉手当)が加わり、年収は約680万円です。
 
対して、国税庁が公表している令和5年の民間給与実態統計調査では、給与所得者の平均給与は460万円という結果になっています。
 
当然、民間給与調査のほうが公務員に比べて対象となる職種の幅が広く、収入差も大きい点を踏まえる必要があります。しかし、水準だけを比べると、確かに「公務員のほうが収入が高い」といえるでしょう。加えて、公務員の収入は安定しているのがポイントです。
 

貯蓄に差がつく理由は安定×継続である。

公務員の給与は俸給表に基づき、原則として毎年の人事評価を踏まえた定期昇給があります。民間企業と異なり、ボーナスが業績で大きく変動する不確実性が少ないため、中長期的な収入の見通しが立ちやすいです。
 
そのため、将来に向けた貯蓄、iDeCoや新NISAなどの積立を仕組み化しやすい環境ともいえるでしょう。景気に左右されにくい雇用の安定も、長期の住宅ローンや教育費計画と両立しやすく、結果的に「取り崩さずに積み上げる」力が働きます。夫婦ともに公務員で共働きの場合は、安定感も継続力もさらに高まりやすくなります。
 

シンプルで強い貯蓄設計とは

公務員か否かにかかわらず、貯蓄を増やすのに特別な裏ワザは不要です。
 

収入日の自動天引きで先取り貯蓄を固定化する。
 
賞与は一定割合を使う前に積立口座へ振り分ける。
 
家計の固定費(通信・保険・サブスクなど)を年1回は見直す。
 
投資は長期・分散・積立を基本に、リスクを取りすぎない。

 
これらを10~20年と続ければ、年収が突出していなくても、4000万円に届く可能性は十分にあります。要は「続けやすい仕組み」を先に作ることです。
 

「公務員だから余裕」ではなく、設計と継続で差がつく

確かに公務員は一般的に民間よりも高収入ですが、それよりも収入が安定しやすいという点がポイントです。だからこそ、毎年の昇給や賞与を前提にした仕組み化が効きやすいのです。
 
一方、会社員でも、収入の波を前提に余裕資金の比率を高め、固定費を抑え、積立を自動化すれば、それぞれの世帯が目標とする貯蓄金額には近づきます。
 
「立場」より「設計と継続」。これが、貯蓄できる世帯に隠れた秘訣(ひけつ)です。まずは、仕組み作りのためにできる家計の見直しから始めてみましょう。
 

出典

金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯
人事院 令和6年国家公務員給与等実態調査の結果
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
 
執筆者 : 大林郁哉
FP2級、AFP、簿記3級

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