自衛官として働いている30代・兄は年収「500万円」だそうです。同じく国家公務員の私よりも高いのですが、公務員なのに差があるのはなぜ?
国家公務員と聞くと、同じような給与を得ているというイメージを持つ人がいるかもしれません。
しかし公務員の間でも、関係するさまざまな要素によって収入に差が生まれます。本記事では、自衛官とその他の国家公務員の収入について解説します。
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自衛官の概要
一般的に、自衛隊の中には、制服組の自衛官や防衛省の職員などが含まれます。自衛官は、以下の3組織に大別されます。
・陸上自衛隊
・海上自衛隊
・航空自衛隊
また防衛省職員は、戦闘員である自衛官とは異なり、事務官や医官、薬剤官、技官などが含まれます。
自衛官も防衛省の職員も国家公務員ですが、「特別職」に従事しているとみなされる点が特徴です。特別職にある場合、基本的には国家公務員法ではなく、自衛隊法などによる規定が適用されます。
自衛官には特別の手当がある
自衛官には、独自に与えられる「手当」があります。防衛省によると、例えば「配置手当」は、職務が複雑かつ困難で、勤務条件が非常に特殊な配置になる場合の手当です。以下はその具体例です。
・陸自特殊作戦隊員手当
・海自乗組手当
・空自航空手当
「特殊勤務手当」は、非常に危険、困難な勤務を割り当てられた場合の手当です。具体例は以下の通りです。
・災害派遣等手当
・対空警戒対処等手当
・海上警備等手当
このように、職業の特殊性から特別な手当が支給されるため、一般的な国家公務員と比較して給与が高くなる可能性があります。
自衛官の給与が必ずしも一般の国家公務員より高いとは限らない
今回のケースでは、兄が年収500万円で自分よりも高いようです。2人の立場や学歴など詳細が分からないため一概にはいえませんが、もしかしたら前述の特殊な手当により、兄の収入が高くなっているのかもしれません。
とはいえ、自衛官の年収が常にほかの国家公務員の年収を上回るとは限りません。自衛隊の帯広地方協力本部が発表した資料によると、幹部候補生(防衛大学校卒業・一般大学卒業)に支給される、自衛官採用後の月給参考額は「28万7800円」でした。
一方、人事院が公表する国家公務員の給与例では、大学卒業者の新卒初任給は以下の通りです。なお、行政職俸給表(一)2級1号俸の場合で、住居手当や超過勤務手当などを含みます。
本府省勤務
・総合職(大学卒業):約37万円
・一般職(大学卒業):約36万円
地方機関勤務の場合
・一般職(大学卒業):約32万円
同じ大学卒業者でも、月給額は一般の国家公務員の方が高くなっています。このように、収入はさまざまな要素で決まるため、自衛官とその他の国家公務員のどちらが高給かは断定できません。
支出面では自衛官に有利な面がある
自衛官として働くと、生活費に関して優遇措置を受けられる場合があります。以下はいくつかの例です。
家賃:駐屯地内に住む場合は無料
光熱費や水道費:駐屯地内に居住すると無料
食費:駐屯地内の食堂利用で無料
優遇措置によって支出をおさえることができれば、仮に一般の国家公務員よりも収入が低かったとしても、自由に使える金額は多くなるかもしれません。
自衛官には特別の手当がつくことがある
自衛官は特別職の国家公務員であり、その職務の特殊性から、独自の手当が与えられることがあります。
そのため、年齢や階級・職務内容などによりますが、一般の国家公務員よりも収入が高くなる可能性もあるでしょう。また収入とは別に、自衛官が支出面で優遇措置を受けられることも注目に値します。
とはいえ個々の状況は異なるため、自衛官の収入が必ずしも一般国家公務員の収入を上回るとは限りません。
出典
防衛省・自衛隊 防衛省・自衛隊に関する質問 ~32 自衛官の手当について~
自衛隊 帯広地方協力本部 自衛官募集 自衛官のお給料について
人事院 国家公務員の給与制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
