「年収1000万円」でも意外と手元に残る金額は少ない? 実際にどのくらい税金や保険料がかかる?

配信日: 2025.09.24 更新日: 2025.10.21
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「年収1000万円」でも意外と手元に残る金額は少ない? 実際にどのくらい税金や保険料がかかる?
将来的に目指す年収額の目安として、1000万円を考えている人もいるでしょう。しかし、年収が1000万円でも、実際には社会保険料や税金などが引かれるため、手取り額を把握するためにも社会保険料や税金の計算方法を知っておくことが大切です。
 
今回は、年収から社会保険料および税金を求める方法や、ケース別の年収1000万円の社会保険料や税額などについてご紹介します。
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年収1000万円の手取りの目安は700万~800万円程度

年収額に対する手取りの目安は、年収の約75~85%といわれています。年収1000万円に当てはめると、750万~850万円程度です。
 
ただし、年収は高くなるほど社会保険料や税金の負担が大きくなるため、実際の手取りは目安を下回り、700万~800万円程度になる場合もあります。
 
また、適用できる控除の内容によっても手取りは変動するでしょう。
 
年収に対する社会保険料や税金の負担がどれくらいかを知るために、それぞれの計算方法を知っておくことが重要です。
 

年収の社会保険料や税金はどう求める?

給料から引かれる基本的な項目は、社会保険料と税金です。それぞれの求め方を解説します。
 

社会保険料の計算方法

社会保険料は、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の4種類から成り立っています。
 
健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料は、税金が引かれる前の給料を一定金額ごとに区分した報酬月額を元に決められる「標準報酬月額」に、保険料率をかけて計算し、会社と折半します。
 
健康保険料率は加入する健康保険組合によって変わり、全国健康保険協会の場合は、介護保険料込みで健康保険料率が11.5%、また厚生年金保険料率は18.3%です。
 
雇用保険料は、給料の金額に保険料率をかけて求めます。令和7年度時点で、一般の事業の場合、労働者が負担する分の保険料率は0.55%です。
 
これらの社会保険料の合計額が、社会保険料控除に反映されます。
 

税金の計算方法

税金を求める際は、まず給料から給与所得控除を引いて、給与所得を求めます。次に、給与所得から社会保険料控除、基礎控除、また必要に応じて配偶者控除や扶養控除などを差し引きましょう。
 
給与所得控除は、給料によって金額が変わり、令和7年度の場合、年収が850万1円以上では195万円(上限額)です。社会保険料控除は、先ほど計算した社会保険料合計額を差し引きます。
 
また、令和7年度の場合、所得税の基礎控除額は、合計所得金額132万円以下が95万円で、所得が増えるに応じて減少していきます。住民税の基礎控除は合計所得金額2400万円以下の場合43万円で、扶養控除や配偶者控除は対象となる人の所得状況や年齢などによって変わります。
 
これらの控除を差し引いて課税所得を求めたあとに、税率をかけると所得税額や住民税額が分かります。
 
なお、所得税は累進課税制度が採用されており、課税所得が高くなるほどに税率も段階的に上がっていく仕組みです。年収1000万円になると、一般的に税率も高くなります。
 

ケース別年収1000万円の社会保険料や税金

今回は、単身世帯、同年代の専業主婦(主夫)の配偶者がいる場合、同居している70代の親を扶養に入れているそれぞれのケースで年収1000万円の社会保険料や税額を計算します。条件は以下の通りです。

●東京都江東区在住40代
●健康保険は全国健康保険協会に加入
●ボーナスは考慮しない
●年収を12ヶ月で割ったものを報酬月額とする
●控除は給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除のみ
●社会保険料や各控除は令和7年度のものを使用

社会保険料は本人の収入により変動するため、どのケースでも金額は変わりません。年収1000万円の場合の社会保険料は以下の通りです。

●健康保険料(介護保険料込み)年額:57万2700円
●厚生年金保険料年額:71万3700円
●雇用保険料年額:5万5000円
●社会保険料合計額(社会保険料控除額も同額):134万1400円

また、年収1000万円のときの給与所得控除は195万円で給与所得は805万円、所得税の基礎控除は58万円です。これらの条件を基にすると、年収1000万円の税額は表1のようになります。
 
表1

単身世帯 専業主婦(主夫)との2人世帯 70代の親との2人世帯
所得税課税所得 612万8000円 574万8000円 554万8000円
所得税率、控除額 20%、42万7500円
所得税額 79万8100円 72万2100円 68万2100円
住民税課税所得 627万8000円 594万8000円 582万8000円
住民税所得割+均等割 10%+5000円
住民税額 63万2800円 59万9800円 58万7800円
手取り 722万7700円 733万6700円 738万8700円

※筆者作成
 
社会保険料は同じですが、控除の条件によって税額と手取りは変わります。今回のケースでは、最大16万1000円の差となりました。なお、金額は勤務先や加入する健康保険組合、扶養状況などによって数万円単位で変動するため、あくまで目安と捉えてください。
 

年収1000万円の手取りは720万~740万円程度で控除によって増減する

給料から引かれるのは社会保険料や所得税、住民税です。給料が同じ場合、社会保険料額は変わりませんが、配偶者や扶養親族がいるなどで適用される控除が増えると所得税額や住民税額も変動します。
 
年収に応じた税額や社会保険料が気になる場合は、年収だけでなく適用される控除などの条件も確認してみるとよいでしょう。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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