30代独身の平均年収と平均貯金額っていくらくらいですか? 家賃も食料品も値上がりし、趣味にもお金を使うので、まったく貯金ができません。
本記事で、30代独身の平均年収や貯金額のデータを確認したあと、今の生活を見直す視点と、無理なく貯金を始めるための具体的な方法を探っていきましょう。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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30代独身の平均年収と貯金額
年収に関する公的な統計は、国税庁の「民間給与実態統計調査」が参考になります。令和5年の調査では、30代前半の平均年収は約431万円、30代後半では約466万円前後となっています。ただし、これはあくまで平均値であり、職種や地域によって大きく差があります。
また、金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年 単身世帯」によると、30代の平均貯金額は約700万円ですが、中央値は305万円と大きな開きがあります。これは一部の高所得者が平均値を押し上げているためで、実際には「貯金ゼロ」の人も30代独身の約34%にのぼります。
これらから分かることは、「貯金ができていない」ことは決して珍しいことではなく、むしろ多くの人が同じ悩みを抱えているということです。
現状を振り返り、原因を分析
貯金ができない原因は、主に以下の3つに分類できるのではないかと思われます。
1番目は、固定費の高さです。家賃や通信費など、毎月必ずかかる費用が収入に対して高すぎることです。
2番目は、変動費の管理の甘さです。食費や趣味、交際費などを「なんとなく、計画性なく」使っていることです。
3つ目は、貯金の仕組みを作っていないことです。あらかじめ、一定の貯金額を別枠に設定しておくのではなく「余ったら貯金しよう」という考え方ではなかなか貯まりません。
しかしこの3つの原因は、すべて「仕組みを作る」ことで改善できる可能性があります。
改善策
では、どのように仕組みを作ればよいのでしょうか。本章では「固定費の見直し」「変動費のコントロール」「一定金額の貯金枠を設定する」という3つの観点から、実生活に取り入れやすい改善策を紹介します。
1. 固定費の見直し
まずは、固定費を見直しましょう。金額が大きいもの、長期的に継続して支払っていく項目に注目します。
1つめは家賃です。家賃は、手取りの30%が目安です。この基準を超えている場合は、緊急に資金が必要になった場合に家計をひっ迫する危険性が高まります。住まいの見直しを検討してみましょう。
2つめは通信費です。最近では、多くの種類の格安スマホやネット回線が紹介されています。面倒かもしれませんが、比較検討すれば通信費を抑えることができる場合もあるでしょう。
3つめは保険商品の見直しです。定期的に内容を精査して不要な保障を外せば、固定費の抑制につながるでしょう。
2. 変動費のコントロール
固定費の見直しの次には、変動費について検討しましょう。
食費について、漫然と支払うのではなく「週予算制」などにすれば使いすぎを防ぐことができます。
趣味については、「ひと月の予算枠」を設定して、ある月に予算オーバーした場合には翌月に抑えるなどして、6ヶ月をめどに平均予算枠内に収まるように心掛ければ、ストレスも少なく趣味を楽しむことができるかもしれません。
日ごろの買い物は、クレジットカード決済(キャッシュレス決済)を利用すれば、記録が残るのと同時にポイント活用でお得感を味わうこともできます。
3. 「一定金額の貯金枠」を設定
給料日当日に、一定額を貯金口座へ自動振替するよう設定しましょう。まずは、手取りの10%程度から始め、習慣化させることが大切です。具体的なツールとしてNISAやiDeCoを活用すれば、少額で無理なく貯金をしつつ、同時に資産形成にもつながります。
お金の付き合い方は「長期的な視点」で
ただ「貯金する」というのではなく、長期的な視点で取り組んでいくと継続しやすくなります。
例えば、「年1回の海外旅行に向けて月1万円ずつ貯金する」や「3年後にマンションの頭金100万円を目指して月3万円ずつ貯金する」といった目標を設定するのもいいでしょう。
「貯金できない自分はダメだ」と落ち込む必要はありません。趣味や娯楽に使うことも、心の健康を保つためには大切です。使うことと貯めることの両方を意識しながら、無理なく続けられる家計管理が実現します。
まとめ
国税庁の調査によると、30代の平均年収は450万円前後です。また、金融経済教育推進機構の調査によると、30代独身の平均貯金額は約700万円ですが、中央値は305万円と現実的な数字です。
貯金ができないのは珍しいことではなく、固定費や変動費の見直し、先取り貯金の導入で改善することが可能です。目的を持った貯金と、無理のない支出管理を心掛けることで、趣味も楽しみながら将来に備えることができるかもしれません。できることから工夫を重ねて、将来に安心できる資金作りを進めていきましょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
金融経済教育推進機構 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 単身世帯
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
