世帯年収「500万円台」ですが、周りの同僚世帯は“もっと稼いでいる”ように感じます。実際の平均と比べてどうなのでしょうか?

配信日: 2025.09.26
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世帯年収「500万円台」ですが、周りの同僚世帯は“もっと稼いでいる”ように感じます。実際の平均と比べてどうなのでしょうか?
世帯年収が500万円台と聞くと、「中途半端な水準かな」「周りはもっと稼いでる気がする」と感じることもあるでしょう。しかし、実際の統計データを見てみると、500万円台世帯が全国・都内でどの位置にいるかが浮かび上がります。
 
本記事では、平均・中央値との比較、所得分布とのギャップ、そして地域・構成の影響を踏まえて解説します。
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「500万円台」は全国・都内でどの位置?

まず、全体を把握するためにデータを見てみます。
 
総務省「家計調査報告(家計収支編)2024年」によれば、勤労者世帯の実収入(手取りではなく収入ベース)は、1世帯あたり 月平均約 54万2886 円 という統計があります。これを年収ベースに換算すると、約 651 万円前後 になります。
 
一方、給与所得者の統計では、国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者全体の平均年収は約 460万円 と報告されており、500万円台はこの平均を上回る水準です。
 
また、保険会社・情報サイトをまとめた分析では、日本全体の平均世帯年収は 約524万円 として紹介されており、500万円台は平均に近いレンジと見なされることがあります。これらのデータから、世帯年収500万円台は「全国レベルでは平均~やや上」のレンジに位置していると判断できます。
 
しかし、「都内・東京圏」に焦点を当てると事情が変わる可能性があります。都心部は家賃・生活コストが高いため、同じ年収でも余裕を感じにくくなります。
 

年収分布・上位層とのギャップを見てみる

平均より上とはいえ、500万円台世帯はトップ層ではありません。所得分布を見れば、より稼いでいる世帯がどの程度いるかが見えてきます。
 
例えば、所得帯別の分布を見てみると、「500〜600万円未満」の層は一定の割合を占めるものの、「600万円以上」「800万円以上」「1,000万円以上」の世帯も一定数存在します。こうした層との比較によって、「もっと稼いでいるように感じる」感覚が生まれるのです。
 
また、上位所得層では、資本所得・投資収益・不動産所得など給与以外の収入を持つ世帯も多く、可処分所得(手取り+投資収益など)で見れば差はさらに広がります。
 

世帯構成・地域によって「500万円台」の印象が変わる理由

なぜ同じ500万円台でも「余裕がある」「苦しい」と感じられるかには、次のような要因があります。
 
・世帯人数・扶養家族の多さ
 
子どもが多い、親を扶養しているなど、家族が多ければ食費・教育費・住居費がかさみます。
 
・住居コスト・家賃水準
 
都心・駅近の住宅では家賃が高く、可処分所得を圧迫します。
 
・通勤・交通費
 
都内在住・都心勤務なら交通費がかかるケースもあります。
 
・教育費・習い事費用
 
子どもの進学や習い事にかける支出が大きいと、可処分所得に余裕が出にくいでしょう。
 
・ローン・借入金などの負債
 
住宅ローンや車のローンが重いと、手元に残るお金が少なく感じられます。
 
・生活スタイル・支出傾向
 
趣味・旅行・交際など、支出を重視するライフスタイルだと余裕を感じにくくなります。
 
したがって、同じ500万円台でも、構成・地域・生活スタイルによって“稼ぎの印象”は大きく変わります。
 

“もっと稼いでいるように感じる”感覚と比較の落とし穴

周囲を見渡して「同僚世帯はもっと稼いでいるようだ」と感じるのは、必ずしも正確とは限りません。その感覚にはいくつかの落とし穴があります。
 
・見える部分・生活の表層だけで判断しがち
 
高級車・外食・旅行など、目に付きやすい支出を見て「稼いでるな」と思うことがありますが、それらは支出の優先順位に由来する可能性があります。
 
・報酬以外の収入源を見落とす
 
給与以外の副業・投資収益・不動産収入など、見えにくい収入を持つ人が多いと、比較対象として有利になります。
 
・偏った視野・サンプルバイアス
 
自分が接する範囲(職場、地域、趣味仲間など)で高所得者が多いと、それが“普通”だと感じがちです。全体を見れば異なる構図が見えます。
 
・見せるインスタ映え的なライフスタイル
 
SNSや表向きの演出で、実際の収入水準以上に豊かそうに見せている人もいます。
 
こうした点を頭に入れ、冷静な視点で比較することが重要です。
 

まとめ

世帯年収500万円台は、統計的には平均よりやや上の位置にあります。全国レベルでは中くらいから上位のレンジともいえるでしょう。ただし、都内などの生活コストが高い地域では、500万円台では余裕を感じにくいことも十分に起こり得ます。
 
“周りがもっと稼いでいるように見える”のは、見える支出・副収入・サンプルバイアスなどが影響している可能性があります。大切なのは、他人と比較することより、自分/自分たちの世帯構成・支出スタイル・将来目標に見合った収入・支出バランスを目指すことです。
 

出典

総務省 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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