婚活で「開業医」と結婚した妹。母は「玉の輿だね」と言いますが、医師ってそんなに“裕福”なのでしょうか? 勤務医との年収も比較
本記事では、勤務医と開業医の年収の違いや医師という職業の実態に触れながら、本当に「玉の輿」というイメージ通りなのか、その真相を解説します。
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
医師との結婚は玉の輿?
医師は社会的な信頼が厚く、収入面でも一般的に高い水準にあるため、結婚相手として、玉の輿の代名詞のように語られることがあります。また、開業医になると、自ら医院やクリニックを経営する立場でもあり、うまく経営が軌道に乗れば高額な収入を得られることも珍しくありません。
医師という仕事は景気に左右されにくく、失業のリスクが比較的低い職業でもあります。そのため、安定感のある職業=裕福な暮らしにつながる、というイメージが強まり、「医師と結婚すること=玉の輿」という考え方が広まったのでしょう。
医師はみんな高年収なの?
厚生労働省の調査結果では、勤務医の平均年収はおよそ1460万円とされています。日本の会社員の平均年収(約460万円)と比べれば、確かに高い水準です。しかし、勤務医は長時間労働や夜勤を伴うことが多く、その収入は大きな犠牲の上に成り立っているのが現実です。
一方、開業医の平均年収は約2640万円とさらに高額ですが、その金額だけを見て全員が裕福と考えるのは早計です。
開業には数千万円規模の初期投資が必要で、建物の取得や内装工事、最新の医療機器の導入などに多額の資金を投じる必要があります。多くの場合、金融機関から融資を受けて開業するため、長期間にわたり返済を続けなければなりません。さらに、スタッフの給与や施設維持費、医療機器の更新など、毎月の固定費も大きな負担になります。
つまり、医師であっても勤務形態や経営状況によって収入には大きな差があり、「医師=全員が高収入」というイメージは必ずしも正しくないのです。
収入だけでは語れない医師の実生活
医師の生活を高収入という一点だけで捉えると、見落としてしまう現実があります。勤務医の場合、救急対応や当直勤務など、生活リズムが不規則になりやすく、心身の負担は非常に大きいです。家庭での時間を十分に持つことが難しく、結婚後の生活ではパートナーにも理解と協力が求められます。
一方、開業医は高収入ではありますが、診療に加えて経営者としての役割も担わなければなりません。スタッフの採用・教育・マネジメント、医療機器の更新計画、地域の競合状況への対応など、経営に関わる課題は尽きません。患者が安定的に来院しなければ収入も大きく変動するため、経済的リスクを抱えている点も見逃せません。
このように、医師は裕福な職業ではありますが、肉体的・精神的な負担や経営上のリスクを抱える職業でもあります。収入が高いからといって、ずっと余裕ある生活が保証されるわけではないのです。
まとめ
医師との結婚は玉の輿と言われがちですが、実際には収入が高い一方で、労働環境の厳しさや経営リスクなど、表からは見えにくい現実があります。社会的地位や安定性が魅力であることは確かですが、必ずしも、裕福な暮らしが約束されているとは限りません。
結婚生活において本当に大切なのは、相手の職業や収入の多さだけではなく、お互いの価値観や生活のスタイルが合うかどうかです。医師と結婚することを玉の輿と一面的に捉えるのではなく、その裏側にある現実を理解し、パートナーとして支え合えるかどうかを考えることが重要だと言えるでしょう。
出典
厚生労働省 第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
執筆者 : 金田サトシ
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
