50歳の夫が昇進して「部長」に! 年収が850万円から「1000万円」に変わるそうですが、生涯収入はどのくらい変わりますか?

配信日: 2025.10.03 更新日: 2025.10.21
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50歳の夫が昇進して「部長」に! 年収が850万円から「1000万円」に変わるそうですが、生涯収入はどのくらい変わりますか?
会社員として10年、20年と働いていると、昇進のチャンスに恵まれることがあります。多くの会社員にとって、課長から会社の幹部クラスである部長への昇進は大きな目標ではないでしょうか。
 
課長から部長に昇進すると、社内での権限や責任だけでなく、給与や賞与などの待遇も大幅に向上します。もちろん企業ごとに違いはあるのですが、一般的にどのくらい差が出るのか気になる人も多いでしょう。
 
本記事では、課長から部長に昇進した場合の年収や、生涯収入の差を公的データをもとに解説します。
高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級

課長と部長の年収差はどのくらい?

課長であるときの年収と部長になってからの年収はどれぐらい差があるのでしょうか。
 
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、平均的な数値として、課長の月給は51万2000円、部長級は62万7200円でした。
 
ここから、年収を試算するために、賞与(ボーナス)をいくら受け取っているか設定します。
 
一般財団法人労務行政研究所「東証プライム上場企業の2025年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」によると、全産業115社の平均支給月数は「2.55ヶ月」です。また、同じく「東証プライム上場企業の 2024 年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」によると、全産業182社の平均支給月数は「2.61ヶ月」です。
 
夏期賞与の支給月数を2.5ヶ月分、冬期賞与を2.6ヶ月分と仮定すると、課長と部長の平均年収はそれぞれ以下の通りです。
 

・部長:62万7200円×12ヶ月+62万7200×(2.5ヶ月+2.6ヶ月)=約1072万円
・課長:51万2000円×12ヶ月+51万2000×(2.5ヶ月+2.6ヶ月)=約876万円

 
あくまでもデータをもとにした試算ではありますが、部長に昇進すると年収1000万円ほどを望める可能性があり、課長のときよりも年収が196万円と大幅に増えることが分かります。
 

課長と部長の生涯収入の違いは?

では、課長と部長の生涯収入の違いはどのくらいになるのでしょうか。今回は退職金は考慮せず、20歳から60歳までの賃金合計と、受給年金額を試算してみます。
 
まず、課長の場合、以下のような賃金推移をたどると仮定します。
 

・入社10年まで:年収400万円(一般職)
・入社11年目~20年:年収500万円(主任)
・入社21年目~30年:年収600万円(係長)
・入社31年目~40年:年収850万円(課長)

 
現役時代の収入は合計2億3500万円です。
 
上記の場合、生涯の平均年収は約588万円で、平均標準報酬月額は50万円となります。これにより、厚生年金の報酬比例部分は「平均標準報酬額50万円×5.481÷1000×480月=約131万5500円です。また、老齢基礎年金(国民年金)は満額を受け取れると仮定し、金額は83万1700円(令和7年度の例)です。
 
加給年金や経過的加算を計算せず、65歳から85歳まで受給できる場合の生涯の受給額は「(131万5500円+83万1700円)×20年=約4294万円」です。
 
現役時代の賃金と年金収入を合わせると、生涯収入は「2億3500万円+4294万円=約2億7800万円」と計算できます。
 
一方、部長の場合は賃金推移が以下の通りと仮定して計算します。
 

・入社10年まで:年収400万円(一般職)
・入社11目~20年:年収550万円(主任・係長)
・入社21年~30年:年収850万円(課長)
・入社31年~40年:年収1000万円(部長)

 
現役時代の収入は合計2億8000万円です。
 
生涯の平均年収は700万円で、平均標準報酬月額は59万円になります。厚生年金の報酬比例部分は「平均標準報酬額59万円×5.481÷1000×480月=約155万2200円です。また、老齢基礎年金(国民年金)は満額を受け取れるとし、金額は83万1700円(令和7年度の例)になります。
 
加給年金や経過的加算を計算せず、65歳から85歳まで受給できる場合の生涯の受給額は「(155万2200円+83万1700円)×20年=約4768万円」です。
 
現役時代の賃金と年金収入を合わせると、生涯収入は「2億8000万円+4768万円=約3億2768万円」と計算できます。
 

まとめ

実際の生涯年収は企業の給与テーブルや退職金の金額、昇進タイミングなどによっても異なりますが、今回の試算では部長は課長よりも生涯収入が約5000万円多い結果となりました。
 
今回の計算例を参考に、自身の場合はどうなるか試算してみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(8) 役職別にみた賃金
一般財団法人労務行政研究所 東証プライム上場企業の2025年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査
一般財団法人労務行政研究所 東証プライム上場企業の2024年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)
 
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

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