日本の平均年収が480万円近いって本当? 40代手前で年収300万円ってもしかして少ないの?
本記事では、国税庁の調査結果をもとに、最新の平均年収データや中央値、40代手前の給与水準を紹介しながら、300万円という収入が統計上どの位置にあるのかを解説します。そのうえで、少ないと感じた場合にどのように向き合えばよいのかも考えていきます。
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目次
日本の最新平均年収データ:480万円というのは正しいか?
国税庁長官官房企画課の「令和6年分民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円でした。内訳としては、平均給料や各種手当などが403万円、ボーナスなどの平均賞与が75万円とされています。
最新データによれば「平均年収が480万円近い」というのはおおむね正しいといえますが、平均値は一部の高年収者によって押し上げられる性質があるため、多くの人の実感とずれが生じやすい点に注意が必要です。
性別や雇用形態ごとに見てもばらつきは大きく、男性の平均給与は587万円であるのに対し、女性は333万円にとどまります。正社員(正職員)の平均給与は545万円ですが、非正規雇用者の平均給与は206万円と大きな差があります。
このことから、「平均年収=自分の目安」と考えるのは必ずしも適切ではなく、属性や立場によって大きく状況が異なることが分かります。
平均だけで見ない“もうひとつの基準”―中央値と分布の実態
平均に加えて注目したいのが「中央値」です。中央値とは、年収を低い順に並べたときにちょうど真ん中に位置する値のことで、高収入者の影響を受けにくく、実態に近い水準を示します。
厚生労働省の統計などをもとにすると、日本の年収中央値はおおよそ400万円前後と推定されています。平均の480万円よりも低く、実際には多くの人が400万円前後に集中していると考えられます。
前述の国税庁長官官房企画課の調査結果を給与階級別に見ると、最も多いのは年収300万円超から400万円以下の層です。つまり、全体の分布を見ると「480万円近い」という表現が実感とずれる理由がはっきりします。
平均年収はあくまで参考値であり、実際には300万円台から400万円台の人が最も多い層を形成しているのです。
40代手前で年収300万円:統計上どう見るか
では、35歳~39歳の年代で年収300万円というのはどのように位置づけられるのでしょうか。国税庁長官官房企画課の同調査によると、男性の35歳~39歳の平均年収は574万円、女性は351万円で、男女計は482万円です。
全体として、年齢を重ねるにつれて給与は増加する傾向にあります。そのため、40代手前で300万円という年収は、統計的には平均を下回る水準といえます。
もっとも、雇用形態や業種、勤務する地域によって給与水準は大きく変わります。例えば契約社員や派遣社員などの非正規雇用であれば、300万円程度でも珍しくないかもしれません。
給与水準が比較的低い業界にいる場合や、地方勤務で都市部ほどの給与水準を得にくい場合も同様です。したがって、単純に「300万円=少ない」とは言い切れず、背景を考慮する必要があります。
少ない年収とどう向き合うか:改善へのヒント
それでも、平均や中央値と比較したときに自分の収入が低いと感じたら、改善に向けて動くことは可能です。
まず、現在の職場で昇給の余地があるかどうかを確認しましょう。勤続年数やスキルに応じて給与が上がる仕組みがある会社であれば、実績を積み重ねることで収入を伸ばせるかもしれません。
一方で、昇給の制度が整っていない場合や昇給幅が小さい場合は、思い切って転職を検討するのも選択肢のひとつです。給与水準の高い業界や企業に移ることで、大幅な年収アップにつながることもあります。
さらに、自分の市場価値を高めるための努力も重要です。ITスキルや語学、専門資格などは、転職や昇給交渉において有利に働きます。
また、すぐに収入を増やすのが難しい場合は、支出の見直しや資産運用といった方法で可処分所得を増やすことも考えられます。固定費を削減したり、NISAやiDeCoを利用して将来の備えを作ったりすることも現実的な対策です。
まとめ
「日本の平均年収は480万円近い」という表現は、最新の統計ではおおむね正しい数字といえそうです。しかし、その数字は一部の高年収層によって押し上げられており、実態に近い中央値はおよそ400万円前後と推定されます。最も多い層は300万円台から400万円台であり、決して高い数値ばかりではありません。
40代手前で年収300万円というのは統計的には低めの水準ですが、雇用形態や業界、地域などによっては珍しくないケースもあります。
重要なのは、現状を客観的に把握したうえで、キャリアの見直しやスキルアップ、転職、支出管理など自分に合った改善策を探ることです。年収の数字そのものに一喜一憂するのではなく、今後どう行動するかを意識することで、将来の可能性は大きく広がっていくでしょう。
出典
国税庁長官官房企画課 令和6年分民間給与実態統計調査-調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与 〔平均給与の内訳〕 (17ページ)、〔年齢階層別の平均給与〕 (21ページ)、3 給与階級別分布(23ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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