大学時代の友人は部長に昇進して「年収1500万円」稼いでいるそうです! かなりの高給取りだと思うのですが、同じくらい稼いでる人ってどれくらいいるんでしょうか?
本記事では、統計データをもとに、「年収1500万円レベル」の立ち位置について解説していきます。
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目次
給与所得者と部長級の年収の平均はどれくらい?
まず、全体の平均値を確認しておきましょう。
国税庁長官官房企画課の「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者1人あたりの平均給与は478万円です。男女別では、男性の平均が587万円、女性の平均が333万円という結果です。
次に、厚生労働省が実施する「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、雇用期間の定めのない一般労働者について、役職別の賃金(男女計)では、非役職者が30万2800円、部長級が62万7200円です。
この水準を12ヶ月で換算すると、非役職者が363万3600円、部長級は752万6400円になります(賞与などを含めればもう少し上乗せされることも想定されます)。
こうした数値と比較すると、今回の「部長に昇進して年収1500万円」という金額は平均から大きくかけ離れた水準であると推察できます。
年収1500万円クラスは、統計上どれくらいの位置にあるか?
統計資料から、年収1500万円クラスの人がどれほど希少か、また分布の上位層との比較を見ていきます。
前述の国税庁長官官房企画課の「令和6年分民間給与実態統計調査」をみると、給与階級別分布では、「年収1500万円超2000万円以下」の年収帯の人の割合が全体の1.1%、「年収1500万円超」では全体の1.7%です。
また、最もボリュームがあるのは「年収300万円超400万円以下」で全体の16.1%、次が「年収400万円超500万円以下」で全体の15.3%という結果です。500万円以下の層だけで6割超を占めており、1500万円を超える高所得層は極めて例外的な存在という構図が浮かび上がります。
統計上、このような極端な高所得層は“少数派”であり、平均値を押し上げる効果を持ちつつも、実際にはその人数は少数であるという性質があります。
また、勤続年数・役職・企業規模・業種などが影響を与えることも忘れてはなりません。例えば、大企業/上場企業で、長年勤めて管理職になっているケース、あるいは営業職など成果型報酬の要素が強い職種でなければ、1500万円という数字には達しづらい傾向があるでしょう。
「年収1500万円」クラスの背景要因と見通し
このように統計上は非常に例外的な立ち位置となる年収1500万円クラスですが、そこに届く人たちには以下のような背景要因があると考えられます。
・役職・マネジメント職
部長・取締役クラスなど、企業の中枢に関わるポジションに就いていることが多く、その分報酬体系が基本給+役職手当+業績連動報酬など重層的であることが一般的です。
・企業の規模や業種
大企業、特に上場企業や資金力のある企業、または金融・IT・商社・グローバル企業など収益力が高い業界で、より高い報酬水準が設定されているケースが多いです。
・成果報酬・インセンティブ型の評価制度
年俸制や評価ボーナスなどの要素が強い場合、基本給を超えて年収が大きく跳ねることがあります。
・勤続年数・キャリア構築
キャリアを積んで昇進・昇格を重ねてきた人、あるいは転職・異業種挑戦で報酬が大きく跳ねた人など、時間軸をかけて年収を引き上げてきたケースです。
ただし、こうした道を歩んだとしても、統計的には「ごく一部」に属するという現実を忘れてはなりません。
まとめ:年収1500万円稼ぐ人は「ごく少数派」
大学時代の友人が部長昇進で年収1500万円と聞くと、「すごい」「自分とは別世界だ」と感じるのは自然なことかもしれませんが、その水準はかなりのトップ層に位置しています。統計データによれば、平均年収は478万円であり、1500万円以上という高所得レベルは全体の数%にすぎません。
したがって、年収1500万円を稼いでいる人は、ほんの一握りといえます。むしろ大多数の人は、平均・中間値に近い水準で収入を得ており、それぞれのキャリア・働き方・企業環境のなかで最適な道を歩んでいるわけです。
「友人は高給取りですごい」という印象そのものは間違いではありません。ただ、その金額を“基準”に自らを見比べることは、自分の価値や可能性を狭めてしまうことにもつながりかねません。
統計という視点をもって、「その人が特別な背景や役職、環境を得ている存在」であることを理解したうえで、あなた自身が目指したいキャリア・報酬を客観的に描く判断材料にすることが大切です。
出典
国税庁長官官房企画課 令和6年分民間給与実態統計調査 II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与(15ページ)、3 給与階級別分布(23ページ)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 結果の概要(8)役職別にみた賃金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
